2012 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウイルス由来小分子RNA(VA-RNA)の機能解析と新規ベクターの開発
Project/Area Number |
12J01471
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
町谷 充洋 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Adベクター / shRNA / VA-RNA / miRNA |
Research Abstract |
アデノウイルス(Ad)由来小分子RNAであるVA-RNAは転写後、Dicerに切断されて約21塩基の二本鎖RNA(mivaRNA)になる。さらに、その過程において、pre-miRNAやshRNA前駆体の核外輸送を担うExportin-5と競合することや、Dicerに結合することでその機能を阻害し、結果としてmiRNAの成熟やshRNAの機能発現過程を阻害することが報告された。しかしながら、実際にshRNA発現Adベクターにおいてこのような現象が起こっているかは明らかとされていない。そこで、研究代表者らが開発したVA-RNAを発現しないAdΔVRベクターにshRNA発現カセットを搭載し、そのノックダウン効率に関して検討を行った。shRNA発現従来型AdベクターとshRNA発現Ad△VRベクターによる標的遺伝子の発現抑制効率を評価したところ、shRNA発現従来型Adベクター作用群と比較して、shRNA発現Ad△職ベクター作用群において有意に高いノックダウン効率を示した。したがって、VA-RNAはshRNA発現AdベクターにおけるRNAi効果を阻害している可能性が示唆された。また、Ad△VRベクターはshRNA発現による標的遺伝子ノックダウンに向けた基盤ベクターとして有用であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな知見を見出し、学会発表を3件行うなど、期待通りの成果をあげることができた。本成果に関しては既に論文を執筆済みであり、現在、学会誌へ投稿中である。また、上記の研究成果をもとに、さらに大きく研究を展開中である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に得られた知見を詳細に検討するために新たにp53遺伝子に対するshRNA(shp53)発現カセットを搭載した従来型AdベクターならびにAd△VRベクターを作製する。さらに、昨年度と同様に新たに作製したベクターを用いて、shRNAによる遺伝子発現抑制に重要なshRNAのRISCへの取り込み、およびVA-RNAよりDicerに切断されて生じるmivaRNAIのRISCへの取り込みの評価を行う。また、shp53発現従来型Adベクターとshp53発現Ad△VRベクターによるp53遺伝子の発現抑制効率を解析する。
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