2012 Fiscal Year Annual Research Report
N-メトキシアミド基を利用した新規アルカロイド合成法の開発と天然物合成への応用
Project/Area Number |
12J01843
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白兼 研史 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | N-メトキシアミド / アシルイミニウムイオン / Schwartz試薬 / 多置換アミン / アルカロイド / ゲフィロトキシン |
Research Abstract |
本年度の研究では、多置換アミンの二段階合成法を開発した。一段階目の反応は、N-メトキシアミドとアルデヒドとのカップリング反応である。N-メトキシアミド基は通常のアミド基に比べ窒素原子の求核性が高くなっている。そのため、アルデヒド存在下BF_3-OEt_2で処理すると分子間縮合が進行しアシルイミニウムイオンが生じた。あらかじめ分子内にアリルトリメチルシリル基を導入したN-メトキシアミドを用いると、分子内アリル化反応がワンポットで進行しラクタムを与えた。その後、t-Buエステル基を有した二環性ラクタムに誘導し、二段階目のアミド基に対する還元的アリル化に取り組んだ。この二環性ラクタムはアミド基より反応性の高いエステル基が共存しているので、DIBALなどの還元剤は使用できない。そこで、Schwartz試薬に着目した。Schwartz試薬の特徴としてエステル基が共存していてもアミド基と選択的に反応することが挙げられる。Schwartz試薬と当研究室で開発したアミド基に対する求核付加反応を組み合わせると、反応はアミド基のみに選択的に進行し、望みの多置換アミンを収率良く与えた。ここで合成した多置換アミンは、ゲフィロトキシンの全合成に必要な鍵中間体となるので、続いてゲフィロトキシンの全合成に取り組んだ。得られたデカヒドロキノリンから側鎖を伸長し、メトキシ基を除去するためにCrCl_2で処理すると、aza-Michael反応も一挙に進行しピロリジン環の構築に成功した。その後、種々の官能基変換を行いゲフィロトキシンの全合成を達成した。 このように、開発した反応を鍵として三環性アルカロイドであるゲフィロトキシンの全合成に成功したことで、本反応が有用な分子変換法であることを実証するとともに、他の多官能性アルカロイド合成にも応用できる可能性を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多置換アミンの二段階合成法の開発では、一段階目に全合成へも展開できるハロゲンを有したアルデヒドを利用できた。二段階目ではアミド基より求電子性の高いt-Buエステル基が共存していても、Schwartz試薬を用いれば官能基選択的にアミド基と反応させることができた。全合成では多くの官能基が共存した基質を扱うので、本反応は非常に有用である。最後に、ゲフィロトキシンの全合成も達成できたので本研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
多置換アミンの二段階合成法を詳細に検討し、多彩な多置換アミンを合成する。一段階目では用いるアルデヒドおよびN-メトキシアミドの適用範囲を検討する。また、分子内反応が収率良く進行することを確認しているので、求核剤の種類を種々検討し分子間反応への展開にも取り組む。二段階目の反応では、有機金属試薬を用いた炭素求核剤の導入を検討し、望みの立体に合わせた合成法を選択できるようにする。全合成研究では、プリミオトキシンCの合成に取り組み、開発した多置換アミンの二段階合成法が様々なアルカロイド化合物の合成法として有用であることを示す。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Synthetic Study of Gephyrotoxin2012
Author(s)
Shirokane, K. ; Wada, T. ; Takayama, N. ; Minamikawa, R. ; Yoritate, M. ; Sato, T. ; Chida, N.
Organizer
IKCOC-12 (The Twelfth International Kyoto Conference on New Aspects of Organic Chemistry)
Place of Presentation
リーガロイヤルホテル京都
Year and Date
2012-11-13