2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02272
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古谷 槙子 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脳性麻痺 / 脳磁場計測法 / リーチ動作 |
Research Abstract |
本研究は当初脳性麻痺児の上肢運動時における大脳の支配領域を解明することを目的に、functional MRIを用いてその際の脳活動を測定することを計画していた。しかし、実際にfMRIでの計画を検討したところいくつかの問題点が考えられた。一つはfMRIでの計測では肘関節や肩関節といったリーチ動作に必要な関節が計測しづらいこと。もう一つはその為に検討していたジョイスティックを用いた方法では通常のリーチ動作への応用が難しい事である。そこで、計画を変更し、脳磁場計測法:Magnetoencephalography(MEG)を採用する事とした。この計測法は、脳神経の活動により発生した磁場を測定するものであり、計測機器の特徴として、fMRIよりも時間分解能が高いという特徴を持つ。しかし、本計測機器を用いても肩関節は脳磁場を計測する上で脳に近い事からノイズを発生する可能性が高い事が予備実験で判明したため、まずは上肢運動の特徴を理解する目的で手指の運動から計測を開始する事とした。そのような前段階をふまえた上で、当該年度は倫理委員会の書類を作成するための予備実験と倫理委員会の書類作成、そして健常成人における計測を行った。現在は健常成人にて得られたデータの解析を進めると同時に、脳性麻痺者のリクルートを行っているところである。これらの方法を用いることで、脳性麻痺児のリーチ動作時の脳活動を観察することができ、さらに色々な指示を与えることによって、脳性麻痺児の上肢機能障害の神経基盤を明らかにすることが可能であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、fMRIを使った研究を計画していたが、リーチ動作時の脳活動をより詳細に時間経過を追って解析できるMEGを使用することにした。その為に、計測技術の習得および倫理委員会への申請などに若干の時間が必要となったが、現在は、順調にデータ取得が行えている。脳性麻痺者のリクルートも順調であり,今後は学会発表や論文発表が行えると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は脳性麻痺者の計測に取りかかる予定である。その終了後、比較群として脳卒中後片麻痺者に関する計測も検討しており、同時進行で成人での計測終了後、健常児・脳性麻痺児に関する計測も予定している。問題点としては脳卒中患者や健常児のリクルートに関してまだ十分な保証が得られていないところであるが、いくつか候補があがっているので、それらを進めて行きたいと考えている。発表等に関しては、今後は脳性麻痺者の計測が終了したところで健常者と比較しての発表、さらに脳卒中片麻痺者との比較、小児での計測結果の発表などを予定している。
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