2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02272
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古谷 槙子 京都大学, 医学研究科 人間健康科学系専攻, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脳性麻痺 / 脳磁場計測法 / リーチ動作 |
Research Abstract |
本年度は脳性麻痺児の上肢機能障害の神経基盤を明らかにすることを目的に, 脳性麻痺者の上肢運動時, 特に手指の運動に関する脳磁場計測から開始した. 対象者を痙直型脳性麻痺者で社会生活を営んでいるものと限定したために被験者募集に若干の困難を来したが, 最低目標人数の計測までは到達出来ている. また新しい理学療法の検討という当初の目標より, 計測時の条件として鏡を取り入れ, 鏡の有無によってどのように脳活動が変化するのかを探索する事とした. この方法はMirror Therapyといわれ, 主に脳卒中後の片麻痺患者で有効性が見られている治療法である. データは現在解析中であるが, 鏡の有無に関する有意な差が見られると予想している. また, 本年度は昨年度までに行なった健常者の計測に関して解析を行なった. その結果, 健常者でも鏡を用いることにより, 非運動肢を支配する大脳半球運動野に有意な脳磁場反応が見られたほか, 頭頂葉に強い反応が見られ, これは鏡を使う事による視覚と運動野のミスマッチが起きているために生じるのではないかと推察している. これらの結果は学会で発表し, 現在は現在計測中である脳性麻痺者とのデータを合わせた論文執筆に取りかかっているところである. 脳性麻痺者データはまだ不十分ではあるが, 鏡の有無だけに限らず, 健常者とも異なる反応が見られており, まずは未だに報告がない脳性麻痺者の最初の報告が出来, 脳性麻痺者への新しい理学療法の検討に繋がるのではないかと期待している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は鏡治療効果に注目し, 脳性麻痺者の健常側の上肢運動動作を鏡に映して麻痺側の上肢に重ねて見た時に生じる脳活動について脳磁図計(MEG)を用いで計測した. また, 昨年度計測した健常者のデータに関する学会報告を行なえた.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は脳性麻痺者の解析を行ない, その上で健常者のデータと比較し, 学会誌に発表しようと考えている. その後, より鏡による効果が著明であるとされる脳卒中後片麻痺者に関する計測も検討しており, これにより, より脳性麻痺者に特化した理学療法の検討を行なう予定である. 当初は脳性麻痺児での計測も同時に検討していた. しかし, 今年度の計測において発達がある程度止まった成人の脳性麻痺者においてもかなり様々な反応が得られる事が明らかになっており, 発達中の脳性麻痺児の反応が十分に考察出来るかどうかは現在担当指導教官や共同研究者と議論を重ねているところである.
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Research Products
(1 results)