2013 Fiscal Year Annual Research Report
ペクテノトキシン類の生理活性部位およびその作用機構の解明を目指した合成研究
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12J02473
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 悠記 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ペクテノトキシン2 / 構造活性相関 / ポリエーテル / マクロライド |
Research Abstract |
該当年度は、ペクテノトキシン2の新規アナログの合成を行った。このアナログ合成は、ペクテノトキシン2の酸に対する不安定性の克服を目的としており、より安定でかつ活性の保持されたアナログの合成を計画した。前年度の研究結果より、ペクテノトキシン2の活性発現には、34員環マクロラクトンという大員環構造が必須であるが、大員環構造単体では不活性となることがわかった。また、官能基の修飾により、活性強度も大幅に低下した。したがって、活性保持には、構造の単純化や官能基の修飾は見込めないと推測した。そこで、構造の大幅な改変ではなく、安定性を付与を目的としたアナログ合成の展開を図ることとした。ペクテノトキシン2のスピロアセタール部は酸性条件下で、3種類の異性体混合物となるため、異性化を防ぐことを目的とし、スピロアセタールの酸素原子の1つを炭素原子に置き換え、モノオキサスピロ環としたアナログを設計した。このアナログの合成課題は、スピロ環の立体選択的構築となる。また、合成は3つのセグメントに分割した収束的な合成経路を採用しており、本年度は3つ全てのセグメントを合成した(1つはこれまでに合成経路が確立されているセグメント)。課題となるモノオキサスピロ環の構築は、困難であり、オキシマイケル付加反応やエポキシドに対するエキソ環化も良好な結果は得られなかった。しかし、ビシクロアセタールをLewis酸により開環させ、生じたオキソニウムカチオンに対して、高立体・高収率で求核剤の付加反応が進行することを見出し、スピロ中心の立体化学を構築した。その後、閉環メタセシスを経て、目的のスピロ環を構築した。このスピロ環形成反応は、非常にシンプルであり、既存の方法に比べ、選択性に優れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規アナログの合成に向けて大きく前進した。合成課題であったスピロ環の立体選択的構築にも成功し、必要なセグメントの合成を全て完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究成果を受け、本年度では、アナログ合成により構造活性相関研究を行った。今後は、合成に成功したセグメントを連結し、目的のアナログを合成する予定である。合成したアナログは酸に対して安定であり、かつ、活性を保持していることが期待される。
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Research Products
(1 results)