2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02518
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊森 晋平 広島大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 多変量解析 / モデル選択規準 |
Research Abstract |
一般化推定方程式(GEE)は周辺分布が一般化線形モデル(GLM)に従う目的変数とそれに伴って測定された説明変数が経時的に得られたデータに対して、同一個体内の相関を考慮した推定方程式である。GEEは多変量擬似尤度を基にした推定方程式と作業相関行列から構成されている。作業相関行列や説明変数の選択に関する先行研究はこれまでに数多く行われており、様々な選択手法が提案される注目度の高い分野である。本年度はGEEにおける新たな推定法とモデル選択法の開発に関する研究を以下の通り実施した。 まず、作業相関行列の選択に関して、正規対数尤度を基に作業相関構造と真の相関構造の差異を測る関数を用いて選択を行うことで、提案手法が真の相関構造に対して一致性を持つことを理論的に示した。また、正規性を持つ経時データに関して有用なモデルとして知られる、ランダム効果を持つ成長曲線モデルにおいて、目的変数の次元がサンプル数よりも大きい場合であっても共分散構造選択に対して選択手法およびそれが一致性を持っための条件を導出した。 変数選択の観点からは、予測平均二乗誤差を基にした予測に適した選択規準量を提案した。さらにGLMにおいて、将来と現在の説明変数が異なっている場合を想定した予測的な規準量の導出も行っている。また、近年コンピュータ等の発達により需要が高まっている説明変数が高次元のデータに適応するために、最も基礎的なモデルである正規線形回帰モデルにおいて、選択規準量を最小化することでモデル選択するような従来手法とは異なる新たな変数選択法を提案した。この手法は真の説明変数の組み合わせに対して、その次元がサンプルサイズと同程度であったとしても一致性を持つことが示されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル選択手法やその性質の導出は順調に進展している。またこれらの結果は当初の研究計画に含まれていた相関パラメータの推定量の漸近展開が不要になる可能性を含んでおり、その場合にはこの方向性に関して、本研究は当初の計画以上に進展していると言える。しかしながら、GLMにおける回帰パラメータのMLEの展開式を導出することなど、達成できていない項目もいくつか残っておりこのような評価となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策について、選択規遡量の挙動解明に関する研究を重点的に行っていく。まずは、基礎的なモデルである正規線形回帰モデルの下で、選択確率の推移やベストモデルの分布等の様々な規準量の漸近性質を解明していく。次にGLMにおける回帰パラメータのMLEが従う分布の漸近展開を行い、その結果を用いることAICやCAICで選択されたベストモデルの分布を導出する。それらの結果を比較することでバイアス補正の効果やその程度を明らかにしていく。最後に、これらの結果をGEEの枠組みに拡張していく。
|
Research Products
(14 results)