2012 Fiscal Year Annual Research Report
空間見守りのための高精度屋内センシングシステムの開発
Project/Area Number |
12J02528
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
辻 順平 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 屋内測位 / 位置情報 / 自律キャリブレーション / 電界強度 |
Research Abstract |
今年度は,高精度な位置情報システムにおけるシミュレーションをベースとした精度の理論的保証を与えることを目的に研究を進めてきた.電界強度に基づいた,位置情報システムには,実環境のマルチパスによる電界強度のモデルに対する不一致が大きくその精度に影響を与えることから,フィンガープリンティングと呼ばれる,事前計測に基づく測位手法が有望であると考えられており,これまで申請者らはその方面で進めてきた.従来の手法においては,直線回帰の単純なモデルについて係数を自律的にフィッティングしていく手法が提案されているが,特定の環境における精度実験しかなされていない上に,直線回帰モデルでは十分な精度が得られない問題がある.そこで本研究では,モデルレスで自律的にフィンガープリントを学習するタイプの自律キャリブレーション機能に向けて検討を行った.シミュレーション環境を構築し,研究室環境下で計測された電界強度マップに基づいてシミュレーションを行った結果,本提案手法では制約が少ないために,十分に学習されないことがわかった. また,平成25年度に遂行予定であった,実環境での実用的な測位システムの実現に向けて,前倒しで検討を行った.学会発表「Wi-Fiアクセスポイントを用いた屋内測位インフラための課題とその検討」においては,具体的に屋内地図のデータ構造とWi-Fiのキャリブレーションの問題について扱った.屋内地図に関しては「デフォルメーションされた見取り図を含む任意の屋内地図を取り扱う方法」について提案した, これまで本研究員らが取り組んできた「通信し合っている固定端末間の電界強度を群集動態の推定に利用する試み」について,実験結果の再検討と論文にまとめる作業に取り組んだ.現在は,原稿の執筆作業および校正作業に取り掛かっており,次年度中に論文発表する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的である高精度な屋内測位手法において,当初より課題であったフィンガープリントの自律キャリブレーションの開発を計画通り行っており,さらに位置情報の応用に向けたデフォルメーションの屋内地図の開発に既に着手しており,計画通り進んでいると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
提案手法に対して,十分に学習されなかった問題については,従来のキャリブレーション法によって学習できる仕組みを再検討の上,引き続き次年度の課題としたい. 学会発表では,デフォルメーションされた屋内地図を取扱うことによる有用性と課題が示唆され,また「Wi-FiのキャリブレーションにおけるポケットWi-Fi等の変動端末の取り扱いの課題」などさまざまアイデアが得られたため,次年度はこれらを中心にさらなる検討を重ねたい.
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