2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02572
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松隈 啓 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 原子衝突 / 偏極 |
Research Abstract |
今年度は、(1)励起アルゴン原子2p2準位のアライメント緩和速度係数に対し、1.温度依存性、2.入射原子依存性を論じた実験結果に対しての論文執筆、および、(2)励起ネオン原子2p5、2p7、2p10準位のヘリウム原子衝突によるオリエンテーション緩和観測、その結果を報告する論文執筆を行った。 (1)は摂動を与える原子の分極率依存性を解明するための実験である。励起アルゴン原子2p2準位のヘリウム原子、ネオン原子、アルゴン原子との衝突によるアライメント緩和過程を観測し、入射原子の分極率の大きさに応じてアライメント緩和平均断面積が増加することを示した(ここで平均断面積とは、速度係数を平均速度で除したものである)。また入射原子に対する依存性を見るために既存の理論と比較を行い、理論の問題点を指摘した。 (2)は、様々な論文で議論されているアライメント緩和とオリエンテーション緩和の比について注目し、既存の理論との比較を目的として行った実験である。励起ネオン原子の2p5,2p10準位に対してオリエンテーション緩和測定を行い、実験で得られたオリエンテーション緩和速度係数とアライメント緩和速度係数の比を求めた。その結果は、断面積の大きな準位に対してはM=-1とM=+1の間での励起移行速度がM=-1とM=0の間での励起移行速度の2倍(図の(a)(b)に示した記号を用いればk-11:k01=2:1)程度であることを示した。このことはOmont、Wangらの理論の示すところと一致している。一方で断面積の小さな準位に対しては理論に従わないことが分かり、現在このことに関して考察中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書の当該年度に記載した実験はすべて終了したため
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Strategy for Future Research Activity |
研究の対象を原子から分子まで広げ、新たな実験手法を構築する。具体的には平成25年度には、六極集束器を用いたレーザー実験に取り掛かる。分子の量子状態(全角運動量量子数J、その分子軸方向への射影K、実験系における電場方向への射影M)を指定した分子試料に対して分子の偏極(アライメント、オリエンテーション)をレーザー電場により実現する。
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