2012 Fiscal Year Annual Research Report
繊維芽細胞増殖因子受容体3の膜貫通部位の機能構造解析
Project/Area Number |
12J03166
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
玉垣 裕子 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 繊維芽細胞増殖因子受容体 / 一回膜貫通型蛋白質 / 膜貫通-膜近傍部位 |
Research Abstract |
受容体型チロシンキナーゼの一つである繊維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)の野生型と膜貫通部位に活性型変異をもつG380R変異型の膜貫通一膜近傍部位配列ペプチドの脂質二重膜中における構造比較を行い、活性化機構における膜貫通一膜近傍部位の役割を考察した。C末端に蛍光物質を導入した膜貫通一膜近傍部位配列ペプチドを用いた蛍光実験により、野生型は脂質二重膜と結合しており、G380R変異型は脂質二重膜から解離していることが考えられる結果が得られた。異なるファミリーに属しているErbB2/Neuにおいても同様の結果が得られており、膜近傍部位の脂質二重膜からの解離が受容体の活性化において重要な因子となるモデルを提唱している。FGFR3に関しても同様のモデルが成り立つと考えている。しかし、受容体の活性化機構における膜貫通一膜近傍部位の役割を理解するにはリガンド結合に伴う膜貫通一膜近傍部位の構造変化を捉えることが必要である。そこで固体NMRや蛍光実験を中心とした各種分光学的手法を用いてリガンド結合に伴う膜貫通一膜近傍部位の構造変化を捉えるべく、膜貫通一膜近傍部位のみが部位特異的標識された試料の調製を行うこととした。合成化学的に調製した膜貫通一膜近傍部位と大腸菌による発現で得られた細胞外領域を縮合することにより試料を調製する。合成ブロックである膜貫通一膜近傍部位と細胞外領域の単離精製、各種溶媒に難溶な膜貫通一膜近傍部位の中性水溶液中での溶解を可能とする界面活性剤の選択は完了している。また、抵効率ではあるものの縮合条件の探索も完了している。今後、さらに反応効率を上げる条件を探索し、測定に必要な量の試料を得、脂質二重膜に包埋し、測定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半合成受容体を調製するために必要な合成ブロックである細胞外領域と膜貫通。膜近傍部位は単離精製することに成功しており、また、各種難溶な膜貫通-膜近傍部位の中性水溶液中での溶解条件の検討も完了している.低効率ではあるが、ライゲーション反応も成功しており、1年目の研究成果として判断するとおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、「11.現在までの達成度」で述べたライゲーション反応の再現性をとるとともに、単離精製し、測定に必要な量の半合成受容体を得る予定である。測定に必要な量の半合成受容体の調製方法を確立したのち、リガンド結合に伴う膜近傍部位の挙動変化を蛍光実験で観察するため、C末端に蛍光物質を導入した膜貫通一膜近傍部位と細胞外領域を確立したライゲーション反応を用いて縮合し、脂質二重膜に包埋し、蛍光実験の試料を調製する。その試料を用いて、リガンド結合に伴った膜近傍部位の挙動を蛍光実験で観察する。
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Research Products
(6 results)