2012 Fiscal Year Annual Research Report
人工的なTight Junctionバリアーの再構築と機能解析
Project/Area Number |
12J04387
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
徳増 玲太郎 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | タイトジャンクション / ケラチノサイト / 皮膚 / Claudin |
Research Abstract |
本研究では、人工的なTight Junction(TJ)構築のために二つのアプローチの実験計画を立てていた。第一にSF7細胞を利用した上皮デザイン化である。そして第二に、ノックアウトマウスの掛け合わせることによる、単一Claudinベースの表皮ケラチノサイトの作製である。 まずSF7細胞の系であるが、これまでの研究でTJストランドの再構築に成功していたが、未だTJバリアーの再現には至っていない。一方、第二のアプローチである、単一Claudinの表皮ケラチノサイトを作り出すため、ノックアウト(KO)マウスの掛け合わせを行っており、その過程で新たらしい知見を得ることができた。それは、Claudinの「発現パターン」だけでなくClaudinの「発現量」によっても表現型が異なってくることである。従来のKOマウスの解析では、一種類の遺伝子の発現量を0にすることで表現型がどのようにかわるか、つまり1から0への解析が中心であった。しかしながら、皮膚においては表現型が観察されないサブタイプのClaudinのKOでかつ、異なるサブタイプのClaudinのヘテロ(HE)のマウスを作製すると、皮膚構築異常が観察された。これは、TJバリアーを構築する上で、Claudinの種類ごとのオンオフだけでなく、それぞれのClaudinの発現量の総和によって規定されることが示唆される。さらに、今までKOしても有為な表現型を観察することができなかったClaudinの役割に迫ることもできると考えている。 in vivoにおけるClaudinの発現量依存的な、皮膚構築へのTJバリアーの寄与を解明することは単なる機能解析だけにとどまらず、皮膚疾患といった臨床学的にも意義のある研究になると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の実験計画に比べ多少の遅れが見られるが、新たな知見を得ることもできており、「おおむね順調に進展している」 を選択した。
|
Strategy for Future Research Activity |
単一Claudinの表皮ケラチノサイトの樹立。そして、Claudinを遺伝子導入することで、人工的なTJバリアーの構築を目指す。また、現在、発現量によって生じる表現型については、皮膚疾患との関連を検討すべく、共同研究に進展している。
|