2012 Fiscal Year Annual Research Report
Belle実験におけるB中間子のレプトン稀崩壊事象の研究
Project/Area Number |
12J04409
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 恵里子 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Belle実験 / 稀崩壊 |
Research Abstract |
ILCの崩壊点検出のための読み出し回路及びセンサーの研究について、国内並びに国際会議で発表し、学術雑誌に投稿した。 2012年度、当初、Belle実験におけるB中間子のレプトン稀崩壊事象の研究を行い、荷電ヒッグスを含む新物理探索を行う予定であったが、緻密な分析の結果、当初行う予定であった解析手法では、感度を十分得ることができないことが判明した。このため、同じく荷電ヒッグスを含む新物理に感度が高い、電弱ペンギン稀崩壊事象を解析することになった。具体的にはB中間子が、sクォークとレプトン2つを含む崩壊事象を解析し、その事象の崩壊分岐比を測定する。 今年は、本実験と関連する、LHCでの実験結果や、過去の異なる解析手法での結果について、現在の理論予想等について、学習した。また、モンテカルロによるシミュレーションを行い、イベントを生成し、sクォークを含む終状態が、K、Kπ、K2π、K3π、K4πの際の事象について、再構成し、その再構成効率と純度を見積もった。また、バックグラウンドに対しても標準的な信号選択を一通り通し、どれくらい残るか見積もった。今後、Knπ(n=1,2,3,4)以外にもさらに崩壊モードを増やすことや、シグナルとバックグラウンドの分離の最適化を行う予定である。 Belle実験での解析で結果の発表を実験グループ内で容認されるためには、BelleII検出器へのアップグレードに貢献する必要があるが、私は、BelleII検出器のSVDというシリコンで構成されている、ストリップ型の崩壊点検出器のアセンブリ作業に携わった。具体的には、崩壊点検出器の6層目のSVDの読み出し回路、センサー、そして接続端子の間隔を調整するピッチアダプターの要素同士をワイヤボンディングという機械を用いて、電気的に接続させる作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、荷電ヒッグスを含む新物理探索を行う予定であったが、緻密な分析の結果、当初行う予定であった解析手法では、感度を十分得ることができないことが判明したため、同じく荷電ヒッグスを含む新物理に感度が高い、電弱ペンギン稀崩壊事象を解析することになった。このため、遅れが生じたが、現在、K、Kπ、K2π、K3π、K4πの信号の再構成の評価ができ、遅れを取り戻せた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらにKηや3Kなどの新たな信号事象について評価し、背景事象との分離の最適化を行う。 またSVDの検出器の接続の強さや接続効率などのさらなる最適化に向けて研究する予定である。
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