2013 Fiscal Year Annual Research Report
農山村地域におけるルーラルジェントリフィケーションの社会的持続性に関する比較研究
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12J04462
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
飯塚 遼 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ルーラル・ジェントリフィケーション / コミュニティ / 旧住民 / 新住民 / ダービーシヤー・デールス / ユールグレイヴ村 |
Research Abstract |
本年度は、前年度にひきつづき、研究対象国であるイギリスにおいて統計データや地形図、空中写真などの資料収集を行ったほか、レスター大学地理学教室の客員研究生としてMartin Phillips教授の指導のもとイングランド、ダービーシャー・デールスの研究対象農村でのフィールドワークを行った。さらに、それらから得られたデータについて分析を加えた。具体的な内容については以下の通りである。事例地域の絞り込みについては、前年度の研究によって得られた結果をもとにダービーシャー・デールスをルーラル・ジェントリフィケーションの萌芽地域、発展地域、飽和地域の3地域に分類し、それぞれについて事例農村を設定した。現段階では、ルーラル・ジェントリフィケーション発展地域としてのユールグレイヴ村において、国勢調査小地域データと住民の農村に対する意識や生活スタイルについての詳細なアンケート調査、および聞き取り調査のデータについて多変量解析を行い、農村コミュニティにおけるジェントリフィケーションの影響を抽出した。その結果、ユールグレイヴ村においては旧住民と新住民の間に摩擦は少なく、むしろ新住民を中心として旧住民を含む新たなコミュニティが出現しており、ジェントリフィケーションがコミュニティにとってポジティヴに影響したことが明らかになった。その背景には、かつて鉛鉱や石灰岩採石場が点在したユールグレイヴ村においては、様々な地方から流入する労働者を受け入れてきた地域特性があると考えられる。同様のデータは、萌芽地域の事例にあたるモンヤシュ村においても入手しており、現在、分析を進行させている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究によって、ユールグレイヴ村におけるジェントリフィケーションの現状が明らかになった。このことにより、次年度に予定している日本の調査対象農村における研究調査の基盤を築くことができ、さらなる研究の進展が十分期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の研究計画としては、イギリスでの調査で得られたデータの分析を精査し、ジェントリフィケーションの地域への影響の変容を明らかにする。さらに、日本の研究対象農村における調査を進行させ、景観の上部構造の把握のほか、住民へのアンケートと聞き取りにより意識構造も解明していく。その成果は、8月にロンドンで開催される英国王室地理学会の会議で報告する予定である。また、イギリスで行った研究を含め、これまでの研究をまとめた論文を複数の学術誌に投稿することも予定している。
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Research Products
(6 results)