2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J04573
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三柴 善範 九州大学, 大学院・数理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | tモチーフ / v進周期 / 代数的独立性 / 多重ゼータ値 / 多重ポリログ / 函数体 |
Research Abstract |
tモチーフから得られる周期について,その性質,特に代数的独立性を調べた.tモチーフとは,代数体上のアーベル多様体の函数体上での類似物である.その周期はCarlitzゼータ値などと結び付く重要な対象であり,その代数的独立性に関しては標数0の世界では得られないような深い性質がいくつも示されている, 今年度はこれまでに行ってきた研究を拡張し,基礎体と係数環がそれぞれ異なる定数体を持つような状況において,有限素点vに対して,v進周期が生成する体の超越次数とtモチーフの淡中基本群の次元が一致するということを示した,この研究結果について,8月に台湾で講演を行った.v進周期によってv進ゼータ値を記述できると考えており,両者の繋がりを引き続き研究している. 素点vがtのときは,t進ゼータ値は無限進の対象として記述される.この視点により,t進ゼータ値は無限進のポリログの特殊値で表せると思われるので,無限進の多重ポリログについても研究を行った.その結果,体の標数をp,定数体の位数をqとしたとき,pでもq-1でも割れずに互いに異なる重さを持つポリログの有理点での値が代数的独立であることを示した.また,正標数での多重ゼータ値は多重ポリログで記述されるが,2nがq-1で割れないときに,正標数における多重ゼータのnと(n,n)での値とCarlitz加群の基本周期が互いに代数的独立であることを示した.標数0においては多重ゼータ値の間の代数的独立性は,深さが1のときも含めてほとんどなにも知られておらず,正標数においても深さが2以上のものに対する結果は知られていない.これらの結果については,現在論文を執筆中である.また,深さが3以上の場合やnを動かしたときにも拡張できると考えており,引き続き研究を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
v進ゼータ値の代数的独立性を示すために,無限進におけるCarlitzゼータ値の代数的独立性の証明を完全に踏襲して行うことに拘ったため,当初の予定よりも研究が遅れてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
無限進の対象としてt進ゼータ値が捉えられることから,無限進における多重ポリログについて詳しく研究をしていく.また,多重ポリログがあるフロベニウス方程式を満たすという性質から,逆にそれを用いてv進多重ポリログ及びv進多重ゼータ値を定義できるのはないかと考えており,その研究も行っていく.これは標数0におけるp進多重ゼータ値の定義と同様の流れとなる.これら二つの視点からv進ゼータ値を詳しく調べていくことを基本方針とするが,従来通り無限進の議論を踏襲する方法も適宜行っていく.
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Research Products
(3 results)