2012 Fiscal Year Annual Research Report
中国人の日本語学習者に見られる日中同形語の誤用について-品詞の誤用を中心に-
Project/Area Number |
12J05515
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
王 燦娟 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 特別研究員PD
|
Keywords | 中国人日本語学習者 / 日中同形語 / 品詞誤用 / 二重誤用 / 誤用状況調査 / 誤用傾向 / 誤用原因 / 誤用防止策 |
Research Abstract |
1.本年度の研究目的 (1)初級、中級だけではなく、上級中国人日本語学習者にも品詞が誤用される可能性がある日中同形語にはいかなる語があるのかを確定する。 (2)(1)で確定した語の誤用傾向を把握するための誤用調査用アンケートを作成する。 2.研究方法 (1)研究目的(1)を達成するために、下記の資料を中心に文献調査を実施した。 (1)日中の過去10年間に刊行された学術誌に掲載された日中同形語の品詞誤用に関する論文(修士、博士論文を含む)。 (2)日本語教育、日中対照言語学及び第二言語習得関連学術誌、日中同形語関連図書と辞典。 (2)研究目的(2)を達成するために、以下の3ステップで作業を進めてきた。 (1)文献調査で確定した語を意味が誤用される可能性があるかどうかにより、「A意味と品詞における二重誤用される可能性がある語、B品詞が誤用される可能性がある語」という2グループに分け、別々に誤用状況調査を行う。 (2)(1)のグループAの語に対し、あり得る二重誤用パターンをまず想定し、想定した内容で二重誤用文とその後ろに付ける中国語の誤訳文を作成し、正誤判定式のアンケートを作成した。グループBの語に対しても、あり得る品詞誤用パターンをまず想定し、同様に正誤判定式のアンケートを作成した。 (3)大学を単位に、日本語学習暦が2年~4年の中国人日本語学習者に対し、誤用状況調査を実施した。 3.研究成果 (1)上記グループAの語の二重誤用の傾向と誤用の原因を明確にした上で、誤用防止策を立案し、大学を単位に教育改善を目的とするフィードバック活動を行った。また、研究成果を取りまとめ、東アジア日本語教育・日本文化研究学会第16回国際学術発表大会で口頭発表を行い、国際学会誌『東アジア日本語教育・日本文化研究』に論文を投稿した。 (2)上記グループBの語に関して誤用状況の予備調査を実施することにより、本調査用のアンケートの形式と内容を確定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、初年度には中国人日本語学習者にとって品詞の誤用が起きる可能性がある日中同形語を把握し、それに基づき、誤用状況調査用アンケートの形式と内容までを確定する予定であったが、実際にはこの二つの目標を達成しただけでは無く、半分近くの語(即ち上記グループAの語)については誤用状況調査まで終了出来、併せて教育改善を目的とするフィードバック活動も行えた。更に、研究成果を取りまとめ,国際学会での口頭発表と国際学会誌への論文投稿も行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
4月の下旬から上記グループBの語の誤用状況調査を実施し、調査結果を10月に開催される日本語教育学会秋季大会で発表する。また、グループAとグループBの語の調査結果を取りまとめ、WEB上で利用可能な誤用防止データベースを作成し、その成果を12月に開催される日中対照言語学会冬季大会で発表する。更に、国内・国際学会誌への論文投稿を行いながら、大学を単位に教育改善を目的とするフィードバッグ活動を行い、誤用防止データベースの紹介、普及を行う。
|
Research Products
(2 results)