2012 Fiscal Year Annual Research Report
肥満誘導性ノンホメオスタティック味覚感度調節系の分子神経学的解析
Project/Area Number |
12J05569
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
仁木 麻由 九州大学, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レプチン / エンドカンナビノイド / 味覚 |
Research Abstract |
本研究は、摂食調節物質レプチンとエンドカンナビノイドによる味覚調節系の変調について解析することを目的としている。食餌性肥満マウスでレプチンとエンドカンナビノイドが味覚器でどのように機能しているかを調べるために、C57BL/6Jマウス、TIR3-GFPマウスの雄4週齢を用い、高脂肪食群(カロリー比で脂質が約60%)と普通食群に分け飼育し、週に2回食餌摂取量と体重を測定、2週間に1回血中レプチン濃度を測定し、食餌性肥満モデルマウスを確立した。 この肥満モデルマウスを8週齢から16週齢まで使用し、レプチン受容体(Ob-Rb)のアンタゴニストまたはエンドカンナビノイド受容体(CB1)アンタゴニスト投与で鼓索神経における基本味刺激応答が変化するかどうかを調べた。応答をとる前の血中レプチン濃度を測定しておき、レプチン濃度と応答の変化の関連性を明らかにした。各週齢で6匹以上のデータを解析した結果、血中レプチン濃度が20-25ng/ml付近でレプチン受容体アンタゴニストの効果が減弱し、逆にエンドカンナビノイド受容体の効果が増強することがわかった。この効果は甘味に特異的で他の味は変化しなかった。 次に、その両者の変化を分子レベルで解析していくために、Ob-Rb、CB1の味蕾での発現を免疫組織化学染色で調べた。結果、通常マウスの味蕾でOb-Rbは甘味受容体と約40%程度共発現していること、Ob-RbとCB1も約半数程度が共発現していることがわかった。また神経応答解析の結果から、味覚器でもレプチン抵抗性をもつことが予想されたため、指標となる分子(SOCS3、小胞体ストレス関連分子)の発現を調べた。結果、各分子のmRNA発現を味蕾で確認した。今後、血中レプチン濃度の増加にしたがい、これらの分子がどのように変化して甘味の感受性に影響しているのか探究する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体内でのレプチンとエンドカンナビノイドによる味覚感受性への影響を鼓索神経応答解析により明らかにすることができた。またそれぞれの受容体、関連分子の発現を味覚器で確認できた。今後、肥満の進行により何がどのように変化して、味覚感受性に影響をおよぼすのか探究する。
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Strategy for Future Research Activity |
肥満の進行により増加するレプチンに伴い、リン酸化STAT3やSOCS3の量も変化するといわれている。味覚器でもこれらの発現を確認したため、今後定量RT-PCR法やウェスタンブロッティング法などを用いて、味蕾での量の変化を調べる。また、注目した分子以外の物質の動きをみるために、マイクロアレイ法を用い網羅的に調べることも予定している。エンドカンナビノイドに関しては、食餌性肥満マウスの味蕾での量の変化を測定し、エンドカンナビノイド合成代謝酵素の発現量の変化も調べる予定である。
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Research Products
(4 results)