2012 Fiscal Year Annual Research Report
渦糸ソリトンによる高速火炎伝播メカニズムの検証と応用
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12J05802
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 裕也 山形大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 燃焼 / 火炎伝播 / 渦 / 渦糸ソリトン / 数値シミュレーション / 火災旋風 |
Research Abstract |
当初の研究計画では,渦に沿った高速火炎伝播(ボルテックス・バースティング)現象に対して,渦糸ソリトンによる高速火炎伝播メカニズムの検証と応用の両方を1年間で行う予定であった.しかし計画全体を2年間で行うように変更したため,1年目の平成24年度は検証研究に力を入れ,2年目の平成25年度に応用研究を実施することにした.したがって1年目の平成24年度は,メカニズムの検証レベルを計画段階より引き上げるために,以下の3つのテーマについて数値シミュレーション・可視化・解析を行った. 1)ボルテックス・バースティングに現れる渦糸ソリトンの基本的性質の調査. 2)渦の循環(渦の回転の強さ)がボルテックス・バースティングに及ぼす影響の調査. 3)予混合気の当量比(燃料の濃度,火炎の熱膨張の強さ)がボルテックス・バースティングに及ぼす影響の調査. 以上の3つのテーマの研究成果より,まずボルテックス・バースティングに現れる渦糸ソリトンの基本的性質を確認することができた.また渦糸ソリトンによる高速火炎伝播メカニズムのアイデアが正しいならば,渦の回転の強さや火炎の熱膨張の強さなどのパラメータが火炎伝播特性に影響を及ぼすと予想されるが,確かに予想通りであることがわかった。さらにそれらのパラメータは渦糸ソリトンの大きさとも関係があることもわかった. こうして渦糸ソリトンによる高速火炎伝播メカニズムの有効性を示すいくつかの検証材料が得られ,1年目の平成24年度に行う検証研究としては,当初計画していたよりも多くの成果を得ることができた.これらの研究成果は燃焼学分野における新しい方向性を示すものであり,その学術的意義は大きいと考えられる.またこれらの研究成果はガスタービンエンジン燃焼器や大規模火災現場で発生する火災旋風などの実用的問題にも応用できると考えられ,重要性の高い研究であるといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では検証と応用の両方を1年間で行う予定であったが,計画全体を2年間で行うように変更したため,1年目の平成24年度は特に検証研究に力を入れて実施した.検証研究としては,当初の計画以上の成果を得ることができたため,研究は順調に進展していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の平成24年度は検証研究で十分な成果を得ることができたため,2年目の平成25年度はそれらの研究成果を実用的問題に応用することを計画している.当初の計画では,ガスタービンエンジンなどの燃焼器に対する応用研究を考えていたが,東日本大震災以降の日本の防災意識の高まりを受けて,大震災時に都市部で発生すると甚大な被害をもたらす火災旋風に対する応用研究を行うように計画を変更する予定である.火災旋風のメカニズムを渦に沿った高速火炎伝播メカニズムと類似した視点から調査することで,火災旋風の発生抑制・被害低減につなげ,防災分野の発展に貢献したい.
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Research Products
(2 results)