2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経疾患関連酵素の代謝解析にむけた核磁気共鳴プローブの開発
Project/Area Number |
12J05943
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
植木 亮介 九州大学, 工学部等総務課研究企画係, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 代謝反応 / 多重共鳴NMR / 神経伝達 |
Research Abstract |
【本年度の研究内容とその成果】 我々は次世代の非侵襲的・高選択的な神経疾患診断技術の開発にむけ、生物個体内における代謝反応解析を実現することを目標として本研究課題を進行している。現状、前年度までに開発された核磁気共鳴プローブ分子は、それ自身のみで生体内における診断部位まで到達することは困難であると示唆された。そこで本年度は下記に報告する通り、「標的細胞特異的なプローブ分子の送達」を実現する機能性材料の探索、を主要な研究課題とした。本課題を克服することで従来の「試験管内での代謝解析」から、体内の「どこで」・「どの程度」代謝反応が進行しているかを「ありのまま」解析する技術を提供する一助となることが期待される。以下に具体的な研究実績を報告する。 【研究実績 : 標的細胞特異的なプローブ分子の送達を実現する機能性材料の探索】 プローブ分子の標的細胞への送達を行うための機能性生体材料として我々は核酸アプタマーに着目した。核酸アプタマーとは標的分子に特異的に結合することができる核酸配列を指す。送達モデル系として、ヒト由来細胞株SNU-5を標的細胞と定め、その細胞膜上に発現するc-Metタンパク質を標的とする核酸アプタマーの利用を検討した。具体的には核酸アプタマー上へ蛍光色素を修飾し、プローブ分子のモデル分子として、細胞への送達量を評価した。その結果、c-Metタンパク質を発現するSNU-5細胞に対して選択的にモデル分子を送達することに成功した。 以上の通り、当該年度においてはプローブ分子の標的細胞特異的な送達を実現する、分子設計を確立することに設計した。今後、生体内における代謝反応解析を実現するための方法論の一つとして貢献することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度において計画されていた「標的細胞特異的なプローブ分子の送達」に対しては、プローブ分子の分子設計に置ける試行錯誤が予想された。しかしながら、核酸アプタマーという細胞特異的認識能を持つ生体材料を利用することでプローブ分子の分子構造を保存したまま、標的細胞に対する送達を実現することができた。このようなアプローチによって当初の研究計画より速やかに研究を進行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
【研究の推進方策 : 標的細胞特異的なプローブ分子の送達を実現する機能性材料の探索】 今後の展望としては、本年度までに確立した細胞表層へのプローブ分子送達系を発展させ、細胞内へのプローブ分子の送達を実現することを試みる。そのために、エンドサイトーシスなどの細胞内在性プロセスに関与する受容体をターゲットとした分子設計・および評価系の確立へ取り組む。細胞内への分子プローブ送達が実現された後には、細胞内での代謝反応解析への展開を試みる。
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Research Products
(4 results)