2012 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュを用いたリゾホスファチジン酸による血管形成メカニズムの解析
Project/Area Number |
12J06465
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
雪浦 弘志 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リゾホスファチジン酸 / ゼブラフィッシュ / 血管形成 |
Research Abstract |
現在までに生理活性脂質であるLysophosphatidic acid(LPA)分解酵素であるLipid phosphate phosphatase 3(LPP3)をゼブラフィッシュでノックダウンすると体節間血管が退縮すること、その異常がLPA受容体であるLPA6をノックダウンすることでレスキューされることがわかっていた。またLPP3ノックダウンによる血管の退縮という異常は血管内皮細胞間の接着が弱まった結果であることが予想されていた。今回、内皮細胞間の接着に非常に重要なVE-cadherinをノックダウンし、内皮細胞間接着を弱めた結果、LPP3ノックダウン時と同様の血管異常を示すことを明らかにした。このことによりLPP3ノックダウンにより内皮細胞間接着が弱まっていることが強く示唆された。 上記したゼブラフィッシュの知見から、今回LPAシグナルが内皮細胞間接着を制御しているのかをHUVEC(正常ヒト臍帯静脈内皮細胞)を用いて解析した。結果、LPAがhPA6を介してROCKを活性化し、アクチンストレスファイバー形成を促進させることでVE-cadherinの局在を変化させ、内皮細胞間接着を弱めることがわかった。さらにLPP3をノックダウンすることによりhPAに対する反応性が高まることが明らかとなった。これらの結果は、ゼブラフィッシュでのLPP3ノックダウン時に内皮細胞間接着を弱めるということを示唆する非常に重要な結果であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにLPA分解酵素であるLPP3をゼブラフィッシュでノックダウンによる血管形成異常がLPA受容体であるLPAsをノックダウンすることでレスキューされることがわかっていた。おそらくLPP3ノックダウンによる血管の退縮という異常はLPAの過剰なシグナルにより、血管内皮細胞間の接着が弱まった結果であることが予想されていたが、内皮細胞を用いた詳細な解析からこの予想を支持する非常に興味深い結果が出ていることからも概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにゼブラフィッシュにおいて血管形成に関与するLPA受容体を複数同定している。今後はその受容体の機能を、マウスを用いて解析し、ゼブラフィッシュでの血管形成に関わるLPA受容体の機能がマウスに保存されているか調べる。方法としてはマウス網膜血管の観察、がん血管新生モデル、下肢虚血モデルを行う予定である。
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Research Products
(6 results)