2012 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜細胞移植における脈管系並びに神経組織の再生機序の解明
Project/Area Number |
12J06896
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
妻沼 有香 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 歯根膜細胞 / 細胞シート / イヌ水平性骨欠損モデル / 同種移植 / GFP / 免疫染色 / 神経 / 血管 |
Research Abstract |
本研究ではイヌモデルにおいて、歯根膜細胞シート移植による脈管系ならびに神経組織の再生機序を解明するとともに、同種の歯根膜細胞シートを移植した際の歯周組織再生への影響および、移植した細胞の運命の探索を明らかにすることを目的として実験を行った。まずイヌの水平性骨欠損モデルを用いて、GFPでラベリングした自己および同種の歯根膜細胞シートを移植した際の歯周組織再生に与える効果の検討を行った。結果、同種歯根膜細胞シート移植群ではコントロール群と比べて有意に高い新生セメント質の再生と、良好に方向づけられた歯根膜線維の再生が認められた。これより同種の歯根膜細胞シート移植は、水平性骨欠損の歯周組織再生にとって安全かつ有効な手段であることが示唆された。 次に作成した組織切片を用いてGFP抗体で免疫染色を行ったが、GFPシグナルの検出は困難であった。そこで組織切片からRNAおよびDNAを抽出しPCR法を用いて検出することとした。今回は同種の歯根膜細胞シートを移植した群の組織切片と、コントロールとして健全な組織の組織切片よりRNAおよびDNAを抽出した。RNA・DNAともに同種の歯根膜細胞シートを移植したサンプルからのみ、GFPが検出された。これらの結果より、移植した細胞が直接的に歯周組織再生に影響している可能性が強く示唆された。 さらに組織切片を用いてNFP(神経線維タンパク)・CD31(血小板内皮接着分子)抗体により免疫染色を行った。自己の細胞シートおよび同種の細胞シートを移植した群、いずれにおいても再生した歯根膜部位に神経および血管が確認された。しかしながら、本実験においては先述したように、GFP抗体を用いた免疫染色が困難であったため、NFP・CD31抗体を用いた免疫二重染色を行うことはできず、移植した細胞が直接的に神経線維や血管へ分化しているか否かを確認することはできなかった。この問題点については今後さらなる実験を行い明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
歯周組織再生療法の発展にとって、極めて重要なテーマで研究を行ってきた。これまでに、主となる歯根膜細胞シートの動物への移植実験を終えて、大変興味深い結果を出している。これまでの研究成果を日本国内の学会や国際学会において積極的に発表しており、その研究内容が外部からも高く評価されている。またこれらの成果について、すでに論文執筆に取り組んでいることからも、1年間で期待以上の進展があったと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行ってきた動物実験では、移植した歯根膜細胞が直接的に歯根膜の神経線維や血管へ分化しているか否かを確認することはできなかったため、今後は再度動物実験を行いその点について明らかにする必要があると考える。 また動物実験のみならずin vitroにおいても、歯根膜細胞自体に神経分化能や血管分化能があるか否かを明らかにする予定である。また分化能について明らかになった場合、どのような因子が分化に関与しているのかを明らかにし、血管・神経の再生のメカニズムについてさらに追求する予定である
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Research Products
(3 results)