2013 Fiscal Year Annual Research Report
エスニック集団間の差異化と連帯-多文化共生型コミュニティ・モデルの構築を目指して
Project/Area Number |
12J07006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土田 久美子 東北大学, 大学院文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 多文化共生 / マルチエスニック・コミュニティ / エスニック・マイノリティ / 連帯 / 社会運動 / 都市 |
Research Abstract |
本研究の目的は、異なるエスニック集団が持つ社会的資源の多寡に基づくヒエラルキーを可能な限り回避しながら、複数のエスニック集団から構成されるコミュニティの形成が可能となる多文化共生モデルを構築することにある。とくに、本研究は、最終的に日本社会への適用可能性を視野に入れた多文化共生モデルの構築を目指している。この点に鑑みて、本年度は(1)アメリカ合衆国ロサンゼルスの事例、および類似事例としてサンフランシスコの事例を調査・分析し、また、(2)日本国内、とくに東北地方の事例を対象として、以下のとおり資料や先行研究の検討、および調査分析を行った。 本研究がロサンゼルスをフィールドとして、調査分析を進めているのは、複数のエスニック集団の連帯を基盤としたリトルトーキョーにおけるマルチエスニック・コミュニティ形成のプロセスである。本年度は、まず、異なるエスニック集団の連帯に基づく運動に関する先行研究を、とくにロサンゼルス都市圏を対象とした研究のレビューを継続したのと並行して、ロサンゼルスのリトルトーキョー地区における、コミュニティ形成に関わるステークホルダーを対象としたインタビュー調査と、コミュニティ形成に関わる歴史的変遷について、資料収集を行った。その結果として、コミュニティ形成に関わるリトルトーキョー内部の構成要素と、コミュニティ形成に影響を及ぼす外的要因との両方がいかに関連するかが、明らかになってきた。 他方、日本社会への応用を視野にいれ、日本の多文化共生に関する状況について、先行研究をレビューしながら、前年度から東北地方において調査も開始した。その成果として、複数の移民コミュニティの形成を確認し、また、出身国籍横断的なネットワークの萌芽をも見いだすことができた。ただし、それら移民コミュニティが抱える課題もまた明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 対象地でのフィールドワークが順調に進んでおり、また調査内容に関連する他のケースもまた調査をも実施した。 2. そのうえでデータを整理し、今後に調査・分析する際の分析視角がより明確になっているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 今後は、平成24年度、25年度に収集したデータと分析から得られた知見を、国内外の学会報告、および論文として発表する。 2. 今後は、対象者の属性(ナショナリティや世代、年齢等)、各集団の個別課題についても資料収集も行うことで、コミュニティ形成への参加経緯をも明らかにする。 3. そのうえで、都市社会学分野での理論研究を行うことによって、より研究の理論的側面を精緻化する。
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