2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J07409
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小泉 直也 慶應義塾大学, メディアデザイン研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | バーチャルリアリティ / 知覚心理学 / インタフェース |
Research Abstract |
本研究の目的は、人間の行動制御を、感覚間相互作用の効果を利用した提示系によって行うための基礎的な知見を得るとともに、それを元にした制御則を設計することである。特に潜在的な情報提示でも行動に影響を及ぼすことに着目して研究を実施する。まず本研究では、人間の咀嚼活動に着目している。具体的には、人間の咀嚼音を加工することによって人間の食感知覚をコントロールすることで、人間の行動制御を実現しようと考えている。この研究の意義は、感覚間相互作用による人間の行動制御を実現することで、より自然な情報提示による人間の行動の誘導手法を開発することである。例えば、食事療法で明示的指示によって食品の消費量を減らすのではなく、潜在的な情報提示によって自然に食事量を制限することが出来れば、より自然と健康の管理ができるようになる。 現在までの実績として、顎の動きを計測し咀嚼判定を実施しながら咀嚼音の加工を実施することで、人間の食感知覚を変化させることを、実験室に限定せずに一般住宅等でも出来うることを確認することに成功した(現在論文投稿中)。具体的には、咀嚼のタイミングを下顎部に配置した二個のセンサで咀嚼運動を計測し、そのタイミングに合わせて咀嚼音のフィードバックを行っている。食品ごとにフィードバックする際の加工条件を変化させることで、食感の変化を作り出せることを証明することまでは実現している。また、行動制御に関しては未だ十分な結果を得るには至っていない。しかし、バイノーラル音声録音と提示を行うことで、より高い現実感を引き起こし、体験者の行動に変化を生じさせられるという仮説をもとに、今後の実験の計画立案も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、咀嚼による知覚の変化の検証を実施し、その傾向を確認することが出来た段階である。行動の操作に関しては予備実験の段階で十分な効果が確認されていない。その理由として、提示する聴覚情報の現実感が十分に設計出来ていない点が考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方針としては、行動操作につなげるための情報提示手法の開発を行う。特に今まではモノラルによる情報の取得及び提示に限っていたが、今後はバイノーラルに情報の取得及び提示を設計することで高い現実感を実現し、より効果的な提示手法を模索する。
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Research Products
(1 results)