2012 Fiscal Year Annual Research Report
長鎖non-coding RNAを介した遺伝子発現制御を支える分子機構の解析
Project/Area Number |
12J07847
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
長谷川 優子 独立行政法人理化学研究所, 中川RNA生物学研究室, 特別研究員(PD)
|
Keywords | non-coding RNA / RNA結合タンパク質 / hnRNP U / 核マトリックス |
Research Abstract |
本研究は長鎖non-coding RNAによるエピジェネティックな遺伝子発現制御を支える分子メカニズムの解明を目指すものである。長鎖non-coding RNAによる制御が明らかになっている例として、x染色体の不活性化とゲノムインプリンティングが良く知られる。両者ともヒストンメチル化やDNAメチル化の関与が明らかにされており、長鎖non-coding RNAがこれらの修飾酵素のプラットフォームとして働くというモデルが提唱されているが、詳細について未だ議論の最中にある。本研究の目的は、長鎖non-coding RNAの作用機構について、新たな知見を付加することにある。 研究代表者は以前にRNA結合タンパク質hnRNPUが長鎖non-coding RNAの一種であるXist RNAの制御を介してX染色体不活性化に関与することを見出した。本研究では、まずhnRNP Uのゲノムインプリンティングへの関与を調べ、この因子がヒストンメチル化酵素やDNAメチル化酵素と同じく、複数のエピジェネティックな遺伝子発現制御機構に関与する因子である可能性が高いことを明らかにした。更に、hnRNP Uが複数の長鎖non-coding RNAの局在・量的制御に関わることも分かった。 また一方で、長鎖non-coding RNAの局在に影響を及ぼす複数の化合物を見出した。これらの化合物で処理することによって局在が変化した長鎖non-coding RNAは、依然としてhnRNP Uとの結合が保たれていた。更なる解析によって、長鎖non-coding RNAの新しい制御機構が明らかになることが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初期待した通りの結果が得られているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は計画立案時に期待した通りの結果を得ることが出来たので、今後はより詳細な解析を行う予定である。hnRNP Uがゲノムインプリンティングに関与していることを明らかにすることができたがなぜインプリンティング異常が起こるのか、原因が明らかになっていないのでヒストンメチル化、DNAメチル化などへの影響を調べることを視野に入れて、作用点の解明に尽力する。
|