2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J08269
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
横山 裕樹 室蘭工業大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 視覚野 / ニューロン / 逆相関法 |
Research Abstract |
本課題は,初期視覚野の電気生理実験において,ノイズ刺激を入力として用い,ニューロン応答特性を分析する手法についての理論的研究である.これまでに広く用いられている手法はSTA(spike-triggered average)やSTC(spike-triggered covariance)など,応答特性が比較的低次の非線型関数で近似できることを仮定したものである.しかし,ニューロンのスパイク生成過程はより高次の非線型性を持っており,これが網膜入力から対象ニューロンまでの系全体の非線型性として現れることになる.以上の背景のもとで,ニューロン応答特性を正確かつ効率的に分析する手法を構築することが本研究の目的である. 本手法では,入出力ともに確率的に振る舞う非線型システムを対象としているため,上記の条件を満たすためには応答特性を必要十分に記述するモデルを決定する必要がある.そこで一年度目は,まず初期視覚野のニューロン応答に関する生理学的知見を精査し,このようなモデルとそのパラメータをデータから推定する手法について検討した.単純型細胞は入力の線型和と実数上の非線型関数の組み合わせ(linear-nonlinear model ; LNモデル)で機能的には記述できるが,後者は単調増加でexpansiveな関数で,ほぼスパイク生成過程に起因していることがわかった.そこで,ニューロン応答特性を多入力一出力の非線型性と一入力一出力の非線型性に分割し,それぞれに適切な事前知識を用いることを考案した. また両者をサポートベクターマシンなどで用いられているカーネル法の原理を用いることで,問題をデータ数次元の二次計画として考え,解がどのように広がっているかを考察した.さらに,数値実験によりこの問題がどの程度の精度で解けるかなどの検証を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年度員に考案したモデルは計画書に記載したモデルとは異なるが,数値実験の結果などにより,生理実験のデータからパラメータを推定するためにはより現実的なモデルであるといえる.従って一年度目の目標は概ね達成された.
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Strategy for Future Research Activity |
一年度目に考案したモデルに基づいて具体的なパラメータの計算方法を考察し,推定精度や安定性などを理論的,実験的に検証する.また実際のニューロンを模したシミュレーションにより,従来の逆相関法との比較を行うことで,提案手法の有用性を検証する.
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