2012 Fiscal Year Annual Research Report
体幹部深層筋の筋力発揮特性の検討及び振動を用いたトレーニング法の深層筋への効果
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12J08373
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大澤 祐介 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 振動 / レビュー / メタアナリシス / 柔軟性 / 筋力 / 筋パワー / 超音波 |
Research Abstract |
振動を利用したトレーニングが、低体力者への導入やリハビリテーション用の運動として欧米諸国を中心に普及している。しかし、振動を利用したトレーニングには、科学的根拠に基づいたプログラムは未だ存在せず、その運動効果は一致した見解に至っていない。また、振動利用の有無、それぞれの条件で同一運動プログラムを行ったとき、振動によって上乗せされる運動効果は明らかではない。 本年度は、振動を利用したトレーニングによって得られる筋力、筋パワー、および柔軟性への効果に関するシステマティックレビューを行った。メタアナリシスの結果、振動を利用した場合、振動なしと比較して膝伸展筋力(standardized mean difference[SMD]=0.74, 95% confidence interval[CI]=0.25-1.22 ; p<0.001)および垂直跳び高(SMD=0.87, 95% CI=0.29-1.46 ; p=0.003)に対して有意に高い効果を認めた。また、柔軟性への効果を検討したメタアナリシスの結果では、振動を付加した運動前後で比較すると、有意に柔軟性が向上し(SMD=0.79, 95% CI=-1.14--0.43 ; p<0.001)、さらに運動内容をストレッチングに限定すると効果量がより大きくなる傾向を示した。これらのメタアナリシスの結果および既報から、振動を利用したトレーニング種目として静的ストレッチングを用いることで、振動によって運動効果が高まることが示唆された。また、採用第2年度目以降に行う介入研究で測定予定の骨格筋の質を評価する指標として、既報にある超音波エコー強度の多寡と運動機能および身体活動との関連性について高齢者を対象に検討した結果、エコー強度と運動機能との間に有意な関連を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
振動を利用することによって運動効果が高まることが期待できる運動様式および体力指標は、これまで一致した見解に至っていない。そこで、採用1年度目は、振動と組み合わせると付加効果が期待できる運動様式および評価指標を検討することを目的とした。本年度では、文献レビューによる検討を行った結果、振動と静的ストレッチングを組み合わせることによって、柔軟性への付加効果が期待できる可能性が示された。 また、柔軟性を評価する指標の再現性および予備実験を行った結果、Primary outcomeは高い級内相関係数を認めた。予備実験の結果では、8週間の静的ストレッチングによって他動的関節可動域テスト時のpeak torqueが50.8Nmから38.8Nmへと低値傾向を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、健常な中高齢者を対象に8週間の無作為化比較試験を実施する。健常な高齢者約60名を無作為に4群に割付けた後、監督下で静的ストレッチング運動を週2日、8週間行う。介入前後に、柔軟性および筋機能を評価する。これまで柔軟性の評価は、長座位体前屈など実験対象者および評価者が結果に影響を及ぼす方法が多く用いられてきた。本研究では、超音波エラストグラフィを使用することも視野に入れ、より多角的に柔軟性の評価を試みる。
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