2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J08397
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 雄也 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | K3曲面 / 超ケーラー多様体 / 良い還元 / 半安定還元 / ガロア表現 / 1進エタールコホモロジー |
Research Abstract |
本研究では,局所体や代数体上の代数多様体の還元(良い還元,半安定還元,……)について調べている. とくに,局所体上の代数多様体が良い還元をもつか否かを,その多様体の1進エタールコホモロジーの定めるガロア表現の性質から判定できるかという問題を考える.アーベル多様体の場合が一つのモデルケースであり,この場合にはそのガロア表現が「不分岐」という性質をもつことが良い還元をもつために必要十分であることが知られている.一般の多様体においてはこれは(必要ではあるものの)十分ではないが,アーベル多様体になんらかの意味で類似した多様体においてはこれが十分条件になるのではないかと予想している. 本年度は,K3曲面について上記の問題を考察した(K3曲面を選んだのは,(アーベル多様体と同様に)標準因子が自明であるという性質をもつため,曲面(2次元の多様体)の中ではアーベル多様体に最も近いと考えられるからである). その結果,多くのK3曲面に対し,ガロア表現が不分岐であることが良い還元をもつための十分条件に(ほぼ)なることが証明できた.(ただし,通常のスキームの範疇ではなく,スキームより広い代数空間の範疇で考える必要がある.スキームの範疇で考えた場合については反例を構成した.) つまり,標準因子の点でアーベル多様体と共通の性質をもつK3曲面が,還元の点においても近い性質をもつことが分かった.標準因子が自明な高次元の多様体についても同様のことが成り立つのではないかと期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
K3曲面の良い還元とガロア表現の性質との関係について,多くの場合にほぼ解明した.
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Strategy for Future Research Activity |
標準因子が自明な多様体について,良い還元の有無とガロア表現の性質との間に密接な関係があることが予想されるので,これをアーベル多様体でない高次元の多様体(超ケーラー多様体など)について確かめる。そのためにまず,対象となる多様体の退化の様子を観察し分類することを目指す. また,K3曲面や超ケーラー多様体の半安定還元の有無とガロア表現の性質との関連も調べたい.これについては対数的スキームの理論が有用であろう.
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Research Products
(2 results)