Research Abstract |
平成25年度は, 昨年度の自由記述ライフログ実験を踏まえて行動を7種類に分類してライフログを記録し, 未来の行動を予測する手法の検討を主に行った. また, 小規模なユーザスタディも行った. 昨年度, 自由記述形式のライフログを記録し, それを手動で分類することで12項目の行動分類によって日常の8割近くをカバー可能であることを示した. しかし, 12項目でも手動で入力するには手間がかかる. そこで, NHK生活時間調査の行動分類を参考とし, 分類を7項目に削減した. 7項目とは, 「睡眠, 食事, 生活, タスク, 予定, 移動, 余暇」である. 次に, 7行動項目でライフログを記録し, 予め決まっている予定の時間を用いて未来の行動を予測できるか検討した. 被験者1名に44日間のライフログを記録してもらい, 相関を調べたところ, 単純な回帰分析によって, ある程度の精度をもってタスク・余暇の時間を推定可能であると分かった. 昨年度制作したプロトタイプアプリケーションと組み合わせ, ライフログと予定に基づいた未来予測によるタスク管理システムを構築した. そして被験者12名にシステムを利用してもらい, ユーザスタディを行った. 被験者に対し, まず31日間ライフログを記録してもらい, その後11日間予測結果をフィードバックする. 実験期間後, アンケートにより被験者の行動がどのように変化したかを調べた. システムにより, 被験者はタスクにかける時間を増やし, 余暇の時間を減らそうとしたことが分かった. 今回利用した未来予測手法は精度が高いものとは言い難いが, 被験者の行動に影響を与えていることが明らかとなった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画書における平成25年度の研究内容は, 大きく分けて, 「ライフログを基とした未来予測手法の検討」, 「パラレルリアリティを実現するシステムの設計・構築・評価」, の2っであった. 平成25年度は, 昨年度の実験結果を基にライフログ対象を絞り込み, 予測手法の検討を進めた. また, 昨年度に制作したプロトタイプと組み合わせて, 小規模なユーザスタディも行った. 以上より, 研究実施計画の項目を達成しており, おおむね順調に進展していると評価する.
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更や遂行する上での大きな問題点は, 現在のところ見当たらないと考える. 予測の提示手法として, 当初Head Mounted Display (HMD)を使用することを考えていたが現状のHMDでは長期間日常的に使用するのは負担が大きいため, 広く普及しているスマートフォンをベースとしたシステムを構築していくこととする. 今後は, より大規模な実験などを行い, 最終的な知見をまとめる方向に進める.
|