2012 Fiscal Year Annual Research Report
河道特性の違いを考慮し治水と環境が調和した河川管理手法に関する研究
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12J08841
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 大輔 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 護岸 / 瀬-淵構造 / 樹林化 / ダムの洪水調節 / 礫床河川 |
Research Abstract |
本年度は、護岸が河川環境に与える影響を調査する事を目的として研究を進めた。護岸は通常、河岸を保護するために設置されるが、その形態の違いによって洪水時の河川の流れ構造が異なるために、結果的に河道内に形成される地形はその形態に大きく影響を受けていた。相模川水系中津川と多摩川水系浅川を主な対象地として現地観測を実施した結果、ブロック乱積み護岸とコンクリート張り護岸では、その付近に形成される地形に関して、以下の3点で特に大きな違いがある事が明らかになった。まず、ブロック乱積み護岸の場合、コンクリート張り護岸と比較して澪筋が急角度で河岸に向かって衝突するような様子であった。また、乱積み護岸の場合は、瀬-淵にかけて平水時の水面幅が変化するのに対し、コンクリート張り護岸の場合は水面幅が変化しない。さらに、コンクリート張り護岸の対岸の河原上では、細粒分が多く、近年問題となっている河原上の樹林化が進行しやすい事が分かった。これらの違いが生じるメカニズムを検証するために、水理実験を実施した。実験の結果、乱積み護岸の付近では、洪水時に護岸の付近が局所洗掘を生じるために、この付近が深掘れを生じ、そこに向かって洪水流と土砂が落ち込むという現象がある事を見出した。そのため河原上に細粒分が堆積しにくく、ここでは比較的樹林化が進行しにくい。また、この深掘れに向かって流れが落ち込む様子になるため、澪筋が急角度で護岸に衝突するような様子になる。以上の成果は水工学論文集で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
河川構造物の設置の仕方により河川環境が異なることを示すことができたのは大きな成果であった。特に、本来河岸や堤防といった重要な構造物を保護するべき乱積みの護岸が逆に洪水流を河岸沿いに引き付けてしまい、堤防の安全性を低下させる場合のある事を示すことができた。しかし、河川毎の違いまでは言及できておらず、さらなる努力と工夫が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、砂州スケールに着目して研究を進める。特に、河這特性の最も重要な要素として、これまであまり注目されてこなかった河床材料の粒度分布に着目する。研究代表者はこれまで10河川、40箇所以上で河床材料の粒度分布を調査してきたが、河川に形成されている地形である砂州の安定性に、河床材料の粒度分布が深く関わっているという事を見出しつつある。すなわち、河床材料の粒度分布の違いによって、河道特性がどのように異なるかを明らかにしたい。また、その説明を支持するために、水理模型実験や理論解析を併せて行っていく。
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Research Products
(8 results)