2012 Fiscal Year Annual Research Report
9族金属錯体を用いた炭化水素化合物官能基化反応の開発
Project/Area Number |
12J08866
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楠本 周平 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 9族金属錯体 / アルカン官能基化 / C-H活性化 |
Research Abstract |
単純炭化水素化合物は石油や天然ガスとして豊富に存在するものの、その直接官能基化は未だ最も困難な課題の一つとして存在する。この難題を達成すべく、本研究ではヒドロキシシクロペンタジエニル配位子を有する9族金属錯体に着目した。すでに炭素水素結合切断において高活性であることが知られているシクロペンタジエニル錯体に対し酸性プロトンを配位子上に導入することにより、金属-配位子間での水素分子の不均一な結合開裂、生成を可能にした。また、ヒドロキシシクロペンタジエニル配位子はシクロペンタジエノンとの相互変換により酸化還元活性であることが知られており、酸化的付加により高原子価となった中心金属の配位子の作用による還元を可能とする。 2012年度は種々の新規シクロペンタジエノン、及びヒドロキシシクロペンタジエニル錯体の合成を行い、現在までほとんど系統的に研究されていなかった当該錯体分野における合成指針を確立した。 さらに、合成を行った錯体がシクロオクタンの脱水素化において活性を有することを見出した。これはシクロペンタジエニル配位子上に水酸基を持たない錯体とは明らかに異なる性質であり、配位子との協働作用による炭化水素化合物の官能基化の可能性を強く支持するものである。また、シクロペンタジエニル配位子上の置換基や単座中性配位子、さらに金属中心の活性に与える影響を精査し、相関を見出している。これにより反応機構に対する知見を得ることが出来れば、さらなる当該分野の発展の基盤となるはずである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに予定通り目的とする種々の新規9族金属錯体の合成に成功し、単結晶X線構造解耕によりその錯体化学的考察を行えている。また単純アルカン脱水素化に活性を有することを確認し、その置換基効果も確認した。1年目の研究計画として予定通りに研究が進行しており順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、脱水素化反応における基質適応範囲の拡大を検討する。官能基耐性や炭素炭素2重結合だけでなく、炭素酸素や炭素窒素といった様々な酸化反応を試みる。 また、小分子を取り込んだカルボニル化やカルボキシル化といったさらに困難な課題にも挑戦する。
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Research Products
(1 results)