2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規膜貫通型タンパク質によるTRPチャネルの制御機構の解明
Project/Area Number |
12J09397
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 智哉 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ノンコーディング / ヒトゲノム / イオンチャネル / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究開始時点では、非電位依存性イオンチャネルTRPによる細胞内イオン流入量が、我々がヒトゲノムノンコーディング領域から発見したタンパク質OGU1によって増加することを突き止めていた。そこで24年度はまず、OGU1タンパク質の各種変異体を作成し、それら変異体をTRPチャネルと細胞内で共発現させて、TRPチャネルイオン流入変化を測定した。その結果、OGUI上の膜貫通領域だと予測される領域内部の2箇所のアミノ酸部位が、TRPによるイオン流入に関わっていることが明らかとなった。またこれらアミノ酸部位は、TRPチャネルとの複合体形成においても重要であることがプルダウン実験によって強く示唆されたことから、本年度の研究によって、OGU1とTRPチャネルとの間の機能制御インターフェイスを絞ることができたといえる。また今年度はさらに、OGU1とTRPチャネルと共に3者複合体を形成しうる別のタンパク質の同定も試みた。OGU1にFLAGタグ化したタンパク質を細胞内で過剰発現し、FLAG抗体で免疫沈降、SDS-PAGEで分離し質量分析を行ったところ、細胞内輸送に関わるタンパク質が2種類同定された。これらOGU1結合因子は来年度以降、TRPチャネル制御メカニズムをより詳細に理解する上で重要な予備実験結果となった。また、OGU1タンパク質遺伝子がかつてそうであったように、現時点でタンパク質をコードしていないと考えられているヒトゲノム領域はまだ数千箇所存在していることを考慮すると、本研究でOGU1の機能を実験的に明らかにすることは、これらヒトゲノム領域の重要性を強く示唆するものといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初2年間で予定していた2つの実験(OGU1変異体解析とOGU1結合因子の同定)は完了したからである。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度に得られた実験結果を基に、OGUIタンパク質によるTRPチャネル機能の制御機構を分子レベルで解明することを25年度は目指す。
|