2013 Fiscal Year Annual Research Report
紛争後ルワンダにおける孤児の社会的ネットワークと「家族」の動態
Project/Area Number |
12J09946
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 有希子 京都大学, 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 「家族」 / 孤児 / 寡婦 / 社会的ネットワーク / 関係性 / 親密さ / 紛争後紛争後 / ルワンダ |
Research Abstract |
これまで、紛争後のルワンダ社会に生きる孤児が、みずから築いた仕会的ネットワークに依拠して新たな「家族」を創りあげるその姿を、孤児の視点から描き出すことを目的に、現地調査をつづけてきた。平成25年度には、2013年9月から11月の約2か月間ルワンダに渡航し、平成24年度まで滞在していた南部州の一農村にくわえて、その周辺地域において短期調査をおこなった。農村部における孤児や、孤児を受け入れて暮らす寡婦らの、家の外へとひろがる社会的ネットワークを明らかにするために、平成24年度からの継続で、各世帯の日常的な食事の入手方法や、土地や家畜の貸借などの実態にかんする調査をおこなった。首都キガリでは、農村部の寡婦世帯で養育されてきた孤児で、キガリに働きに出た10代後半の女性への聞きとり調査を実施した。また孤児に限らず、彼女とおなじ村で育ち、キガリや他村に働きに出た同世代の青年らからも、同様に聞き取り調査を実施した。土地の細分化にともない相続する土地のない彼らが、村落部から都市や他村に出て、生活の基盤となる社会関係をいかに創出しているのか、その一端を明らかにした。 2014年2月には、ネパールとケニアで人類学的調査をおこなう院生らとともに、ネパールのトリブヴァン大学の研究者の協力を得て、The Actualization of "Development" Projects : Vith a Focus on Rearrangement of Life-World in Kenya, Rwanda, and Nepalというタイトルのもと、「開発」にかんする国際共同研究集会を組織した。現在は本発表をもとにして、共同発表者とともに報告書をまとめているところである。また帰国後には論文を一本投稿し、査読結果をふまえて、現在、修正をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度には、約半年を予定していた現地調査を、交通事故により2か月で切り上げて帰国する事態に直面したが、その間、これまで調査を続けてきたルワンダの一農村における調査の実施にくわえて、新たな調査地となりうる場所の選定をおこなうことができた。平成25年度後半には、それらの調査結果もふまえながら、ネパールにおいて他の院生らとともに、「開発」をテーマにした国際共同研究集会を組織した。帰国後には、投稿論文を一本まとめ、現在は査読結果を受けて修正しているところであり、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、人びとの日常的なもののやりとりにかんする調査から、ルワンダ農村部において家をこえたつながりの希薄さが浮き彫りになった。平成26年度にはその結果を踏まえて、そのような希薄さを生んでいる諸要素についての検討をおこなう。また農村部から都市へと流出した孤児らの生活実践と社会的なネットワークをより詳細に明らかするための参与観察を実施する。さらに平成25年度には実施することができなかったブルンディでの現地調査にも時間の許す限り従事し、政治的な介入の実態と人びとの日常的なもののやりとりなどにかんして、ルワンダとの相違を明らかにする。 研究を遂行する上での問題点としては、ルワンダでは一農村における長期的な滞在が困難であることが判明したため、調査を数地点において並行して実施するか、もしくは近隣の町に滞在することが好ましいと考え、現地における滞在方法をそのように変更した。
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