2012 Fiscal Year Annual Research Report
超解像偏光ラマン分光法と有限要素解析を用いたSi結晶中の歪テンソル評価
Project/Area Number |
12J10247
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
富田 基裕 明治大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超解像 / ラマン分光法 / EBSP / 歪Si |
Research Abstract |
本研究第1年度の目標は「偏光ラマン分光法の高分解能化および歪テンソル解析アルゴリズムを開発」である。ラマン分光法の高分解能化については超解像アルゴリズム(BTV法)の導入を試みた。信号回復では、情報Yに逆重畳を行うことで高分解能情報Xを導出する。Xが光学系などから受ける影響をフィルタHとしたとき、このフィルタHを予測することができれば、情報YとフィルタHより逆重畳を行うことができる。超解像ラマン分光法によって得られた結果は77nmのスポット径により得られた結果と同等であると評価された。77nmという値は当初の目的である50nm以下という値には届いていないが、測定時のステップ幅を小さくすることでさらなる高分解能が得られることが判明しており、目標値を下回る値を出すことも可能であると考えている。 FEMシミュレーションと実測値の比較による歪テンソル評価については、超解像ラマン分光法やEBSP法によって得られた結果の検証にFEMを用いることでより精度の高いテンソル評価が可能であることを示した。SiGe/Si微細構造についてEBSP,FEMによってσxxおよびσxz応力の分布を評価した結果、1000から100nmの寸法になるにつれてσxx応力の緩和が大きくなっていることを両手法により確認した。さらに、EBSPの結果はFEMと非常に良い相関が取れている。このことから物性が既知であり、かつ構造が単純な試料であれば高精度で応力分布を予測することが可能であることを示した。また、今のところ実測では測定不可能な10nmオーダーの構造についてもFEMを用いればその応力を予測評価できることも重要だと考える。 これらの結果は英論文3件、国内学会2件、国際学会3件を筆頭著者として発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の進捗について一部予定外の問題が発生したことにより「偏光ラマンによる歪テンソル解析」については進んでいないものの、「ラマン分光法への超解像導入」および「FEMシミュレーションと実測値の比較による歪テンソル評価」については予定通り成果報告を行えているため、研究課題全体の進捗状況は研究計画通りであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
「偏光ラマンによる歪テンソル解析」の問題はx偏光およびz偏光の電場分布が一致しないことに起因する。これについて現在考えられる解決策は、不一致な電場分布を疑似線状光源化を行うことによって平均化する、もしくはFDTDによって得られた電場分布を取り込んだ超解像処理してデータ的に電場の不一致を取り除くことが考えられる。次年度ではこれらを考慮に入れ、歪テンソル解析アルゴリズムの開発を急ぐ。 また、次年度の目標は明らかにせん断応力の入るであろう形状や高空間分解能が必要なナノスケール形状の試料を用意しどのような形状でも超解像測定および歪テンソル解析が可能であることを実証する。
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Research Products
(17 results)