2013 Fiscal Year Annual Research Report
超解像偏光ラマン分光法と有限要素解析を用いたSi結晶中の歪テンソル評価
Project/Area Number |
12J10247
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
富田 基裕 明治大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超解像 / ラマン分光法 / EBSP / 歪Si |
Research Abstract |
本研究第2年度の目標は「単純な応力構造を持つ試料の歪テンソル評価」である。比較的大きなSiGe/Siメサ構造についてEBSPおよびFEMによって2次元応力分布評価した結果、両手法による結果の微差は分解能の違いから生じており、それを考慮すれば両手法の結果はよい相関関係にあると考えられる。このことからEBSP法はSiGe/Siメサ構造について2次元のテンソル評価が可能な強力な評価手法であることを証明した。また、FEMによって得られた理論値にガウシャンフィルタを作用させてEBSPによって得られた結果と比較したところsub-100nmという高い分解能を有していることを明らかにした。しかしながら、EBSP法は構造物に対して非常に弱い手法であることも判明している。特に、ゲート除去後のMOSFETなど凹型の構造では、構造物に後方散乱回折像の形成が阻害されて正確に歪測定することができない。そこで、構造物に測定が阻害されないラマン分光法による実デバイスの測定が不可欠であると考える。 ラマン分光法によって得られた超解像前および超解像後の2次元応力分布を比較を行った。昨年度に引き続きラマン分光法の高分解能化については超解像アルゴリズム(BTV法)の導入を試み、そのアルゴリズムを1次元から2次元へと拡張した。2次元への拡張に伴い、各種パラメータを調整することで1次元の時と同等のsub-100nmの空間分解能を得ることに成功した。ただし、2軸応力分解には至っていないため図4に示した分布はx軸およびy軸垂直応力の和の分布である。今後はTO、LO分離を行い、2軸分離可能な高空間分解能の2次元応力評価を可能にし、実デバイスへの応用を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1次元、2次元問わずsub-100nmの空間分解能をもって、最小幅500nmのパターン評価を可能にし、研究計画似て示した実デバイス測定へ向けての準備は整っている。なお、超解像ラマン分光法による多軸解析は当初の計画より遅れているものの、高空間分解能測定の実現に関しては予定通り成果報告を行えているため、研究課題全体の進捗状況は研究計画通りであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
EBSPは凹型の構造に対して弱い手法であることが既に判明している。FinFETの測定には適しているが、ゲート除去したプレーナー型MOSFETなど凹型の構造では、構造物に後方散乱回折像の形成が阻害されて正確に歪測定することができない。そこで、構造物に測定が阻害されない超解像ラマン分光法による実デバイスの測定を確立することが重要である。超解像ラマン分光法は測定のステップ幅を小さくするほど超解像の効果が上昇することも判明しており、次年度はこれまでに測定したSiNおよびSiGe構造や、実デバイスにおいて最適な測定条件を探索し、実デバイス内の応力分布測定実現を目指す。
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Research Products
(13 results)