2012 Fiscal Year Annual Research Report
波長可変パルスを用いた分子内ホールの超高速ダイナミクスの測定
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12J10272
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 康作 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高次高調波 / 位相測定 / 光イオン化 |
Research Abstract |
本研究は、原子や分子に強いレーザー光を照射したときに発生する高次高調波について位相と強度の両方のスペクトルを測定し、分子の中に生じるホールのダイナミクスを調べることを目標としている。平成24年度は、高次高調波の位相スペクトルを測定するための装置の開発を行った。位相を測定する方法として、高次高調波と基本波を同時に希ガスに集光し、2光子イオン化によって出てきた電子のエネルギースペクトルから位相を得る、 RABITT(Reconstruction of Attosecond Beating by Interference of Two-photon Transitions)と呼ばれる手法を採用することにした。高次高調波は波長が短いので、凹面鏡で集光する際に鏡へ入射する角度を浅くしなければ高い反射率が得られない。そこで、入射角が約78。のときに希ガスのジェット上に集光するような曲率を持つトロイダルミラー(縦と横で曲率の異なるミラー)を設計した。高次高調波は真空紫外領域の波長を持ち空気中では吸収されてしまうため、集光も真空中で行わなければならない。そのため、トロイダルミラーを格納する真空チェンバーを作成し、ミラーの位置と向きを電動ステージでチェンバーの外から制御できるようにした。所属する研究室にあるVelocity map imaging装置を用いて、高次高調波を窒素ガスのジェット上に集光すると光イオン化が起こることを確認した。以上のように開発した装置を用いて、平成25年度は希ガスおよび窒素分子から出る高次高調波の位相スペクトルの測定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高次高調波の位相測定に用いる装置を組み立て終え、実際に高次高調波をガスに集光すると光イオン化が起きることを確認できた。このことから、装置開発はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
高次高調波と基本波による二光子イオン化が起きていることを確認してから、装置のデモンストレーションとして希ガス原子から発生する高次高調波の位相測定を行う。その後、配列した分子から発生する高次高調波のスペクトルを、基本波の波長をいくつか変えて測定し、分子内ホールのダイナミクスを調べる。
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Research Products
(1 results)