2012 Fiscal Year Annual Research Report
中層大気循環の季節変化、長期変化とそのメカニズムについて
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12J10405
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 功太 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 成層圏 / 重力波 / プラネタリー波 / オゾン / 物質循環 / 気候トレンド |
Research Abstract |
24年度は中層大気循環の季節変化や長期変化に関する3つの研究を行った。 (1)高解像度大気大循環モデル(GCM)データと長期再解析(MERRへ)データを用いた赤道半年周期振動(SAO)と極夜ジェット(PNJ)の力学的結合に関する研究。SAOの変動が大気波動と残差循環の変調を引き起こし、PNJの高度をコントロールするメカニズムを見出した。この研究は国内、国外の学会で発表し、アメリカ地球物理学会誌であるJournal of Geophysical Research(JGR)に投稿し、現在改訂段階である。 (2)高高度化学気候モデル(WACCM)データを用いた成層圏中間圏結合に関する研究。オゾンや二酸化炭素増加トレンドに応答して成層圏循環が変化し、成層圏を通り中間圏へと伝播する重力波を変調することで中間圏の力学が影響を受けることを示した。この研究は国内外の学会で発表し、JGRに投稿済みである。 (3)再解析データを用いた成層圏物質循環における重力波の役割に関する研究。プラネタリー波が駆動源として支配的な成層圏循環において、重力波の寄与の推定法を考案し、夏半球亜熱帯の上昇流や成層圏循環の構造、季節変化などに大きな影響を与えることを示した。この研究も国内外の学会で発表済みであり、現在論文を執筆中である。 (1)(2)の研究は成層圏循環とその変動が遠隔領域に与える影響とそのメカニズムを提案し、定量的に検証したもので、包括的な中層大気力学の季節変化、長期変化を理解する上で重要である。また、(3)の研究はこれまで見落とされていた成層圏物質循環における重力波の役割を解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画の通りに研究(研究実績の概要(1)(2))を遂行し、各学会で発表後、論文としても投稿済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画書では今年度は成層圏のAge of air(AOA)について直接解析するつもりであったが、計画を変更し、成層圏循環の三次元構造やその年々変動に着目した解析を行う。この研究はAOAを考える上で重要な物質循環の経度方向の非一様性について理解するもので、対流圏のエルニーニョ現象などと関連付けた年々変動のメカニズムの解明が期待される。
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Research Products
(6 results)