2013 Fiscal Year Annual Research Report
免疫調節機構における RNA 結合タンパク質 NF45 の生理的機能解析
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12J10665
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
戸高 寛 高知大学, 総合人間自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | NF45 / NF90 / RNA結合タンパク質 / TCR / miRNA / 筋成熟 / 筋疾患 |
Research Abstract |
RNA結合タンパク質であるNuclear Factor 45 (NF45)とその結合パートナーであるNF90の複合体(NF45-NF90)は、転写、mRNAの安定化、ウイルスRNA複製制御及びmicroRNA{miRNA)生合成抑制など様々な機能を果たすことが知られている。特に免疫調節において、NF45はIL-13及びIL-2の転写制御に関与することが示されている。しかしながら、これらの報告は細胞を用いた解析で個体レベルにおけるNF45及びF45-NF90の役割は不明な点が多い。本研究では個体レベルにおけるNF45及びNF45-NF90の免疫調節機構及び生体機能を解明するため、NF45を過剰発現させた(Tg)マウスとNF45-NF90Tgマウスを用いて表現型解析を行った。 本年度はNF45 Tgマウスにおける表現型解析としてNF45がサイトカイン発現に影響するか検討するため、NF45が発現調節するサイトカインとして報告のあるIL-43の発現検討をqRT-PCRにより解析した。その結果、野生型及びNF45TgマウスのIL-13発現に顕著な差はみられなかった。この結果より個体レベルにおけるNF45はIL-13の直接の標的でないことが示唆された。 一方でNF45-NFgoTgマウスは、前年度の解析で骨格筋量が減少し、筋成熟促進に働くmiRNAが減少することを明らかにした。本年度は上記の分子メカニズムの解明を試みた。その結果、NF45-NFgoは筋成熟miRNAの前駆体に結合し、プロセシングを抑制することで筋成熟miRNA産生を抑制することを明らかとした。またNF45-NF90によって産生調節される筋成熟miRNAの標的で中心核病や先天性ミオパチー等の筋疾患の原因遺伝子として知られる因子の発現が野生型と比べNF45-NF90 Tgマウスにおいて増加することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NF45 Tgマウスの解析ではIL-13発現に変動がないことが明らかとなった。一方で、NF45-NF90 Tgマウスを用いた解析ではNF45-NFgo複合体は筋成熟miRNA生合成の抑制を通して、筋疾患原因遺伝子の発現を促進することで、骨格筋の未成熟化を引き起こすことを見出すことができた。この成果は学術集会で発表し、現在論文執筆を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の解析より、NF45は直接IL-13に作用していないことが考えられた。そこで次年度では、NF45が直接標的とするサイトカインを網羅的に探索するため、NF45 Tgマウス及びNF45を過剰発現またはノックダウンさせた培養細胞を用いてPCR arrayを行う。この解析を足掛かりとして、NF45によるサイトカイン産生制御メカニズムの全容を明らかにする予定である。 NF45-NF90複合体の個体レベルにおける機能解析に蘭しては、NF45-NF90が骨格筋の未成熟化による疾患の発症に関与するかを検討するため、筋疾患患者、筋疾患モデル動物、未成熟及び成熟した骨格筋細胞を用いてNF45及びNF90の発現量を解析する。
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Research Products
(9 results)