2012 Fiscal Year Annual Research Report
銀河X線ハローの構造の理解と誘電体を用いた次世代X線マイクロカロリメータの開発
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12J10673
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関谷 典央 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | X線天文学 / 銀河 / すざく衛星 / X線検出器 / マイクロカロリメータ |
Research Abstract |
本研究は、X線エネルギーの精密測定とX線イメージングを同時に行うことができる世界初の検出器「誘電体マイクロカロリメータ」の原理実証と、銀河X線ハローの構造解析を目的とする。 誘電体マイクロカロリメータについては、素子材料としてチタン酸ストロンチウムという物質を用いることを選択し、X線エネルギー入射による誘電体素子の温度上昇をGHz帯LC共振回路の共振周波数変化によって読み出すことを考案した。そして, 電磁界シミュレータを用いてX線のエネルギーが測定可能であることを示し、多素子のアレイ化に最適な素子のデザインを確立させた。また、実際にデザインした誘電体マイクロカロリメータの素子を半導体加工技術やGHz高周波回路技術を応用して製作した。次のステップは、極低温下での素子の動作試験を行うことであるが、平成24年11月以降の国際的なヘリウム供給不足によりこれを行うことができなくなった。ただし、試験のための環境整備は完了した。 銀河X線ハローの構造解析については、天の川銀河X線ハローの局所的な温度の非一様性と銀河磁場・宇宙線によるシンクロトロン放射の関連を予想し、X線観測と電波観測を組み合わせることによってそれを示そうとした。さらに、天の川銀河X線ハローの構造と銀河内を高速度で運動する分子雲の関係性を確認しようとした。これらを行うためには、全天のあらゆる領域の高感度・低バックグラウンドのX線観測データが必要であり、今年度は「すざく」衛星によるX線観測を多領域提案した。また、すざく衛星のデータアーカイブの中からこの解析に適したデータを全天145領域分選択し、系統的な解析を行う準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
誘電体マイクロカロリメータについては、1素子の製作を完了し、これを評価する準備まで整えたが、平成24年11月以降の国際的なヘリウム供給不足により極低温下での素子の動作試験ができなくなったため、やや遅れていると判断した。 銀河X線ハローの構造解析については、全天145領域のデータを系統的に解析する準備まで整えたが、実際にその解析の実行に至っていないため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
誘電体マイクロカロリーメータについては、液体ヘリウムが入手可能になり次第、極低温下での素子の動作試験を行うが、入手困難な状態が続く場合、ヘリウム液化装置を有する研究施設に試験協力を依頼する。また、素子へのエネルギー入射による信号を検出し、誘電体マイクロカロリメータの原理実証を行う。 銀河X線ハローの構造解析については, 全天145領域の系統的解析に集中して取り組み、銀河X線ハローの温度と電波放射強度、高速分子雲との相関を調べる。
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Research Products
(2 results)