2012 Fiscal Year Annual Research Report
N-メチルウェルウィットインドリノンCイソチオシアナートの不斉全合成研究
Project/Area Number |
12J10846
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千代田 幸治 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 全合成 |
Research Abstract |
N-メチルウェルウィットインドリノンCイソチオシアナートは、微小管の重合阻害作用を有しており、ビンブラスチンのような抗癌剤に対する耐性を獲得したものに対しても有効であるという非常に興味深い生物活性を有している。そのため、新たな坑癌剤としての期待も高く、様々な類縁体の合成を可能とする合成経路の確立は必要不可欠である。そこで私は、独自の合成計画による本化合物の合成研究を行っている。 私は、分子内辻-Trost反応による連続する4級炭素の構築を鍵反応とし、合成研究に着手し、まずは鍵反応の立体選択性等の知見を得ることを目的とし、モデル基質における検討を行った。鍵反応前駆体は、分子内にビニルエポキシド部位を有しており、化合物の安定性が問題となることが予想された。実際、早い段階でビニルエポキシド部位を構築すると、強酸性条件や塩基性条件に不安定となり、β-ケトエステル部位を構築することが出来なかった。そこで、先にβ-ケトエステル部位を構築することで、鍵反応前駆体の合成を完了することが出来た。 続いて、分子内辻-Trost反応の検討を行った。種々の反応条件を試みたものの、エノラート酸素原子からの環化が進行してしまい、目的の炭素一炭素結合を形成することは出来なかった。 そこで、一挙に構築するのではなく、片方の4級炭素を構築した後、それを足掛かりに分子内Heck反応を用いて連続する4級炭素の構築する合成計画を立案した。現在は、確実性がより高い合成計画に従い、検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まずは目的としていた辻-Trost反応前駆体の合成を完了した。続く鍵反応である分子内辻-Trost反応による連続する4級炭素の構築には、種々の反応条件を試みたものの、目的の炭素-炭素結合を形成することはできなかった。そこで、より確実性の高い新たな合成計画を立案し、片方の4級炭素の構築に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
連続する4級炭素の構築において、一挙に構築するのではなく、片方の4級炭素を構築しだ後、それを足掛かりに分子内Heck反応を用いて連続する4級炭素の構築する合成計画を立案した。現在は、新たな合成計画に従って検討を行い、片方の4級炭素の構築に成功しているため、もう一方の4級炭素を構築し、天然物の全合成を達成する。
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