2012 Fiscal Year Annual Research Report
エジプトの巨石建造物における3Dデータの取得方法と考古学的解釈
Project/Area Number |
12J40021
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河江 肖剰 名古屋大学, 文学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 3D計測 / エジプト / レーザー・スキャニング / 巨石建造物 / 考古学 / エジプト学 |
Research Abstract |
本研究の広義の目的は、「巨石建造物の工学的3Dデータの取得」、「人文学的解釈(データ解析)」、そして「インターネット上でのデータの公開」の一連の手順を方法論として体系化することである。【1.予備調査の完遂】エジプトでの3Dレーザー・スキャニング計測のための予備調査を2012年度に行った。この結果、ターゲットであるギザ台地の主要石灰岩累層であるモカッタム累層の部層の大部分を網羅するための、計測方法や計測場所が明らかになった。【2.ボリューム計算の実験】「人文学的解釈」のための工学的な補完として、関西大学工学部の安室善弘准教授とともに、ボクセルを使ったボリューム計算と生データの欠損箇所を考古学的に埋めるためのソフトの開発を開始した。【3.特徴検出技術PEAKITの導入】上記2に加え、株式会社ラング(岩手県)の協力のもと、同会社が開発した"PEAKIT"(開度、レリーフ、標高段彩など、ディジタル標高モデルを演算することによって作成される複数の画像を選択的に重合表示する技術)を用い、2006年に取得したケントカウエス女王墓の3Dデータの画像処理を、2012年度の間、試験的に行った。【4.リモートセンシング技術の応用】一般財団法人リモート・センシング技術センターの古田竜一副主任研究員に協力を得て、ギザ台地の衛星画像の解析から、累層の形状と、その上に堆積する廃棄物の量を検出することを試み始めた。【5.人文学的解釈】本年度は、カフラー王の治世中に建てられた墓を調べ、カフラー王のピラミッド建造前のギザの状態を、エジプト学側から探り始めた。 【6.インターネット上でのデータの公開】ギザで予備調査を共同に行ったCoaptics社のTobias Tonner氏との公開方法を探った。現状では、JavaScript,HTML5 and WebGL技術を用いるが、公開は、点群の生データではなく、Blenderを用い、0.25-0.5mのメッシュでモデリング化したデータを使用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、3Dレーザー・スキャニングのみ用いた調査を行う予定だったが、関西大学、株式会社ラング、一般財団法人リモート・センシング技術センターの協力を経て、工学的なデータの補完方法や、リモートセンシングを用いた3Dデータの取得にまで踏み込み、研究を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、「3Dデータ取得」の事例の一つとして、サッカラの階段ピラミッド(紀元前2630年頃)の内部計測(外部は2008年に完遂)を行うことを予定していたが、2011年に起こったエジプト革命以後、エジプト考古省の当該プロジェクト関係者(ザヒ・ハワス元考古大臣)が更迭されたため、調査エリアを同じメンフィス・エリアに位置するギザへと変更した。この変更により、狭義の考古学的な目的は変更せざるを得なかったが、方法論を含めた広義の目的に変更はなかった。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Digitizing Egyptian Heritages2012
Author(s)
Ichiroh Kanaya, Yukinori Kawae, Kosuke Sato, Hiroyuki Kamei
Organizer
The First International Conference Virtual Archaeolagy
Place of Presentation
エルミタージュ美術館(サンクトペテルブルク、ロシア)
Year and Date
2012-06-05