2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13021219
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
鈴木 信昭 富山大学, 人文学部, 教授 (50206512)
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Keywords | 朝鮮地図学史 / マテオ・リッチ / 坤輿萬國全圖 / 両儀玄覽圖 |
Research Abstract |
平成14年度においては、漢訳西学書の中でもマテオ・リッチが1602年に作成した『坤輿萬國全圖』等の世界図に関する研究を行った。その中でも、朝鮮で粛宗三十四年に作成された模写本の『坤輿萬國全圖』は、屏風に仕立てられた大型の世界図であり、かつ世界図の中に海獣や動物、或いは船舶等が描かれた極めて珍しい世界図である。現在この描画入り『坤輿萬國全圖』は、韓国に二点(ソウル大学校博物館、ソウル大学校奎章閣-写真版)、日本に一点(大阪南蛮文化館)現存しているが、それぞれ僅かながら相違点の見えるものである。この度は、この三点を比較検討し、三点の描かれた時期がいつであったのか、描かれた事情はどのようなものがあったのかという点にを明らかにした。これについては論文で発表を行った。 それと同時に、マテオ・リッチが1603年に作成した『両儀玄覽圖』についても検討を行った。この『両儀玄覽圖』は、現在、韓国崇実大学校博物館と中国遼寧省博物館で所蔵する現存例の少ない世界図である。韓国に現存している『両儀玄覽圖』は、1936年に発見されたものであるが、それをいつ頃、誰によって朝鮮に持ち込まれたものであるのか、これまで明らかにされていなかったが、本研究でこれを明らかにした。未だ、史料的な面からの研究は不足しているが、この世界図は1620年に、黄中允という人物が、当時中国に出かけた使節(燕行使節)に参加し、北京で購入して持ち帰ったものであることが明らかとなった。 なお、1600年から約二十年ほどの間に、当時中国の知識人が出版した書籍の中に、イエズス会士等が作成した世界図を援用している例が多く見られる。これらに書籍がどれほど多く存在するのか、という点については今後調査していきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)