2001 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポーター膜蛋白質の機能解明を目指した活性天然物の探索
Project/Area Number |
13024249
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 資正 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (40116033)
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Keywords | ABCトランスポーター / 海洋生物 / 医薬資源 / 海綿 / P-gp / MRP1 |
Research Abstract |
ATP加水分解エネルギーを利用して栄養素や老廃物の能動輸送を行う細胞の重要な膜タンパク質群であるABCトランスポーターの特異的な阻害剤を探索し、それらを鍵化合物としてABCトランスポーターの機能メカニズムの解明を行う。 ABCトランスポーターの中でもがん多剤耐性に関わりの深いP-gpやMRP1の2種の膜タンパク質を過剰発現する多剤耐性がん細胞を用いた阻害剤探索のアッセイ法を構築し、それら膜タンパク質に特異的に作用する阻害剤をこれまでに採取したサンゴ礁生物の抽出エキスから探索し、現在までに数種の化合物を見出している。 中でも、海綿から見いだした強力な耐性克服作用を有するステロイドagosterol Aについて検討し、市販のergosterolを出発物質とするagosterol Aの合成研究を展開し、agosterol Aの全合成を達成した。また、全合成の中間体を用いて合成した種々の誘導体の耐性克服作用の有無を検討し、構造と活性の相関を解析した。 さらに、2種のラジオアイソトープ光親和性標識体を合成し、MRP1の標識を試みた。その結果、11位水酸基にリンカーを介して光親和性基を結合させた標識体のみが、MRP1を標識できることが明らかになり、この結合は、MRP1の基質であるleukotriene C4、17β-estradiol-17-(β-D-glucuronate)や種々の抗がん剤によって拮抗阻害された。また、このラベル体は、GSH濃度依存的にMRP1を標識できるという優れた選択性も有していた。さらに、MRP1をトリプシン処理して得られるN末端側およびC末端側タンパクや、発現系を用いて作成したmutant MRP1を用いた結合実験の結果から、11位標識体はC末端側タンパクに結合することが明らかになり、このGSH依存性の結合には、MRP1のlinker region L0が大きな役割を果たしていることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S.Aoki: "Brianthein A, a novel briarane-type diterpene reversing multidrug resistance in human carcinoma cell line, from the gorgonian Briareum excavatum"Tetrahedron. 57. 8951-8957 (2001)
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[Publications] X.Q.Ren: "Glutathione-dependent binding of a photoaffinity analog of agosterol A to the C-terminal half of human multidrug resistance protein"J.Biol.Chem.. 276. 23197-23206 (2001)
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[Publications] S.Aoki: "Reversing effect of agosterol A, a spongean sterol acetate, on multidrug resistance in human carcinoma cells"Jpn.J.Cancer Res.. 92. 886-895 (2001)
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[Publications] Z.S.Chen: "Reversal of drug resistance mediated by multidrug resistance protein (MRP) 1 by dual effects of agosterol A on MRP1 function"Int.J.cancer. 93. 107-113 (2001)
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[Publications] N.Murakami: "Total synthesis of agosterol A, an MDR-modulator from a marine sponge"Chem.Eur.J.. 7. 2663-2670 (2001)