2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13031048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 文彦 京都大学, 工学研究科, 教授 (50107695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 雅彦 京都大学, 工学研究科, 助手 (30335202)
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Keywords | 水素結合超分子 / 液晶 / 水素結合高分子ネットワーク / 多相臨界性 / 結合の組み替え / 相分離 / 異方性ネットワーク / 複合メソゲン |
Research Abstract |
部分的に剛直なセグメントを含む低分子,高分子が,剛直部分の水素結合によりメソゲンを生成し,液晶相転移を起こすような分子混合系に対して,統計熱力学理論とモンテカルロ・シミュレーション法により理論計算科学的に平衡相図を導出し,既存の実験データと比較検討した. 体系はゲル化しない系(水素結合超分子液晶)とゲル化する系(水素結合高分子ネットワーク)に大別し,それぞれの系で可能な相転移を網羅的に調べ,相平面上に転移線を記入した.これらの相転移には,マクロ相分離,ミクロ相分離、ゾル・ゲル転移,ネマチック転移,スメクチック転移などが含まれる.これらの複数の相転移が相平面上の1点で競合する「多相臨界性」が,水素結合による構造形成の特徴のひとつであることが判明した.ABA型3量体,ABAB...型主鎖結合については相図実験データの報告があるので,それらと比較検討し,理論が大局的な相図構造を再現できることを確認した.相分離とネマチック転移(1次転移)の交叉するチムニー型の相平衡領域の出現,ネマチック,スメクチック,...という重層的な相転移出現の分子機構も解明された.ゲル化する系ではゾル・ゲル転移が新たに加わるので,相図構造はさらに複雑になる.ネットワークが形成された後でも,ネットワーク上に存在するメソゲンが液晶相転移を起こすことが判明した。結果的には異方性ネットワークが形成されることになる.以上のような理論構築により,水素結合系の相図の導出が可能になったので,それらを相図予測システムとして使用できるように体系化を試みている. 導出された相図上の1点を指定した時に,それに対応する空間構造を詳しく解析するために,バネ・ビーズ模型を使ったオフラティスでのモンテカルロ・シミュレーションを行った.水素結合の場合には,相互作用に飽和性,方向性,対象選択性などの要素を取り込む必要がある.井戸型ポテンシャルに対結合の制限を入れ,結合角を制限する方法でネットワークの形成機構を調べた.ゲル化曲線が制限の強化とともに組織的にシフトすることが判明した.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] F.Tanaka, T.Koga: "Theoretical and Computational Study of Thermoreversible Gelation"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 74・2. 201-215 (2001)
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[Publications] 田中文彦, 古賀 毅: "水素結合超分子の液晶相と熱可逆ゲル化"日本化学繊維研究所 講演集. 58. 21-25 (2001)
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[Publications] F.Tanaka: "Flows in Polymer Networks"JSME International Journal, Series B. 45・1. 123-128 (2002)
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[Publications] F.Tanaka: "Intramolecular Micelles and Intermolecular Crosslinks in Thermoreversible Gels of Associating Polymers"Physica A. (To appear). (2002)