2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13031048
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Research Institution | Kyoto University, Graduate School of Engineering |
Principal Investigator |
田中 文彦 京都大学, 工学研究科, 教授 (50107695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 毅 京都大学, 工学研究科, 助手 (80303866)
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Keywords | らせん誘起 / キラリティ / コイル・ヘリックス転移 / ジッパー型架橋 / ゲル・ペア転移 / 分子内架橋 / ゾル・ゲル転移 / バイオポリマーゲル |
Research Abstract |
連鎖的な水素結合によりヘリックス・コイル転移を引き起こし,ヘリックスが会合して架橋領域を形成するような多糖類バイオポリマーのゲルについて,ゲル化のカスケード理論と高分子溶液の格子理論を結合した「会合溶液理論」によって解析した.ヘリックス量,ヘリックス長,ヘリックス数を温度濃度の関数として計算し,ゲル化点でこれらの量の間に成立する関係を導いた.ヘリックス量の計算結果とカラギーナン水溶液の旋光度測定結果と比較して良好な一致がみられた.また,低温でネットワークから2重鎖ペアに転移するペアリング転移の現象を発見した.このような複雑なゲルをさらに詳細に調べるため,水素結合の連鎖によって架橋されたジッパー型の架橋領域をもつモデルについてモンテカルロ法でシミュレーションを行った.シミュレーションにおいても低温領域でネットワークが2重鎖分子に分離してしまう「ネットワーク・ペア転移」が存在することが示された.さらに現在は,側鎖のコイル・ヘリックス転移で架橋が起こるようなバイオポリマーゲルに同様の理論解析を応用している. 光学活性をもつ低分子(アミン,アミノアルコール)を側鎖に連鎖的に水素結合することにより誘起される高分子(アセチレン誘導体)主鎖のヘリックス形成について統計力学的な解析を行い,ヘリックスの右巻き・左巻きと結合分子のキラリティとの間に成立する「マジョリティ則」と「軍曹歩兵則」に関する分子機構を解明した.左右のヘリックス量とCD強度に関する実験結果と比較して良好な一致がみられた.本年度はこのようならせん誘起された高分子に張力をかけて伸長すると,らせん誘起度が増大することを発見し,張力・伸長曲線を理論的に求めてキラル低分子の光学分割に原理を応用することを検討している.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] F.Tanaka: "Thermoreversible Gelation driven by Coil-to-Helix Transition of Polymers"Macromolecules. 36・14. 5392-5405 (2003)
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[Publications] F.Tanaka: "Gel Formation with Multiple Interunit Junctions I Molecules Carrying Different Functional Groups"J.Polym.Sci., Part B : Polym.Phys.. 41. 2405-2412 (2003)
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[Publications] F.Tanaka: "Gel Formation with Multiple Interunit Junctions II Mixture of Different Functional Molecules"J.Polym.Sci., Part B : Polym.Phys.. 41. 2413-2421 (2003)
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[Publications] F.Tanaka: "Theoretical Study of Helix Induction on a Polymer Chain by Hydrogen-Bonding Chiral Molecules"Macromolecules. 37・2. 605-613 (2004)
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[Publications] T.Furuya, T.Koga, F.Tanaka: "Effect of Added Surfactants on Thermoreversible Gelation of Associating Polymer Solutions"J.Polym.Sci., Part B : Polym.Phys.. 42. 733-751 (2004)