2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子ホーミング・エンドヌクレアーゼと長鎖DNAとの複合体の構造生物学研究
Project/Area Number |
13033005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 能雅 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (30150014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 隆太 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (70272482)
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Keywords | 遺伝子ホーミング / エンドヌクレアーゼ / DNA2本鎖 / X線結晶構造解析 / 構造生物学 / DNA複合体 / 酵素複合体 / スプライシング |
Research Abstract |
酵母のVMA1遺伝子がコードするVMA1蛋白質からプロテインスプライシングで生ずるエンドヌクレアーゼVDEは,自らのVDE遺伝子を欠くVMA1ΔVDEを認識して切断し,VDE遺伝子を挿入する遺伝子ホーミングを引き起こす。本研究では,VDEが認識する長鎖の二本鎖DNAとVDEとの複合体のX線結晶構造解析を行い,DNAの認識とエンドヌクレアーゼによる切断反応の機構を明らかにし,遺伝子ホーミング現象の構造生物学的な理解を得ることを目的とした。 初年度では,大腸菌において発現させたエンドヌクレアーゼVDEを高純度に大量調製し,酵素の基質である長鎖の二本鎖DNAを多種調製し,VDEとの複合体を形成させた。49種類もの二本鎖DNAを調製し,それぞれについて複合体の結晶化を試みたところ,最も回折能が良好な結晶は,19塩基長と31塩基長のDNA鎖から成る二本鎖DNAとVDEの複合体であった。この結晶から,シンクロトロン放射光を用いて2.5Å分解能までのX線回折強度データを収集し,プロテインスプライシング反応の前駆体であるtagged-VDE体の結晶構造を活用する分子置換法により初期位相を求め,さらに,複合体の全体構造を結晶学的な最小二乗法により精密化した。 得られた結晶構造では,VDEと二本鎖DNAは各々1分子づつで複合体を形成していること,DNAは19塩基長に渡って二本鎖を形成し,VDEのドメインI(エンドヌクレアーゼ活性ドメイン)とドメインIIIの広い分子表面の領域で接触していることが判明した。DNA切断部位はVDEのドメインIにあり,この部位では用いたDNAは一本鎖の部分であること,さらに,酵素の活性部位はAspやLysなどの活性残基のセットが2組が対になっていることなど,VDEによる二本鎖DNAの認識と切断に関する詳細な三次元構造知見を得ることができた。
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[Publications] Ken Murase, Ryuta Mizutani, Yoshinori Satow: "Expression, characterization and crystallization of the Fv fragment of mouse antibody 3B62 from the secondary immune response"Acta Crystallographica. D57. 1703-1705 (2001)
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[Publications] Ryuta Mizutani, Shunsuke Miyamoto, Yoshinori Satow: "Mechanism of catalytic reaction by yeast VMA1 endonuclease"SPring-8 Experiment Report. 7. 154-154 (2001)
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[Publications] R.Mizutani, S.Nogami, M.Kawasaki, Y.Ohya, Y.Anraku, Y.Satow: "Protein-splicing reaction via a thiazolidine intermediate : Crystal structure of the VMA1-derived endonuclease bearing the N and C-terminal propeptides"J.Mol.Biol.. (印刷中). (2002)