2001 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス細胞間移行タンパク質発現植物の同属異種ウイルス特異的な抵抗性機構の解明
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13039004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
吉川 信幸 岩手大学, 農学部, 教授 (40191556)
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Keywords | 植物ウイルス / 細胞間移行タンパク質 / トリコウイルス / ウイルス抵抗性 |
Research Abstract |
本研究では50KTのGINVに対する特異的抵抗性機構を明らかにする目的で、GINVとACLSVのMP間の相互作用に着目し,先ずGINVのMPを、50KTおよび非形質転換植物(NT)でトランジエントに発現させ,GINV-MPの(1)細胞内分布様式,(2)プロトプラスト表面でのチュープル構造形成能、(3)細胞間移行能,(4)プラズモデスマータへの局在が,50KT細胞において阻害されるかどうかを解析した。 (1)3種ウイルス(GINV, ACLSVおよびASGV)のMPとGFPの融合タンパク質を発現するコンストラクトを構築し,56KTおよびNTの表皮細胞とプロトプラストでトランジエントに発現させて,各MPの細胞内分布を調べたところ,ACLSVとASGVのMPは両植物の細胞表面付近でネットワーク状に分布したが,GINV-MPは50KT細胞では大きな蛍光集塊を形成した。(2)GINV-MPを,NTから単離したプロトプラストで発現させると,プロトプラスト表面にチューブル構造が多数形成された。一方,50KTから分離したプロトプラストではチューブルの形成が著しく阻害された。ACLSVとASGVのMPを発現した場合には、50KTとNTのプロトプラスト間でチュープル形成に差は認められなかった。(3)各ウイルスのMP-GFPをパーティクルガン法により表皮細胞に導入した。ACLSVとASGVのMPは、50KTとNTの両植物の組織で、一次発現細胞から周辺細胞に広範囲に細胞間移行し,それら細胞のプラズモデスマータに局在した。これに対して,GINV-MPはNT植物では細胞間移行したが,50KTの表皮細胞では移行が著しくに阻害された。(4)GINVとACLSV, GINVとASGV, ACLSVとASGVの3つの組み合わせで,2種ウイルスのMPをNT表皮細胞で同時に発現させたところ,GINVとACLSVの組み合わせでのみ,両MPの細胞間移行が阻害された。この阻害は、MPのmRNAによるものではなく、タンパク質自体によるものであった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 板橋龍彦, 磯貝雅道, 吉川信幸: "ブドウえそ果ウイルス(GINV)の細胞間移行タンパク質(MP)を発現するNicotiana occidentalisの作出"日本植物病理学会報. 67(2). 143 (2001)
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[Publications] 磯貝雅道, 佐藤寛, 吉川信幸: "ブドウえそ果ウイルス(GINV)の細胞間移行たんぱく質(MP)の細胞間移行を阻害するリンゴクロロティックリーフスポットウイルス(ACLSV)のMP領域解析"日本植物病理学会報. 67(2). 145-146 (2001)