2003 Fiscal Year Annual Research Report
形態形成シグナル伝達経路の異常による発がん機構の解析
Project/Area Number |
13216082
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
苅谷 研一 琉球大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40263371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武居 公子 琉球大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90325861)
海川 正人 琉球大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00325838)
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Keywords | 低分子量GTP結合蛋白質 / Rap2 / MAP4K / がん |
Research Abstract |
がんの発症に関わるシグナル伝達分子には、形態形成シグナル伝達経路に関与するものが少なくない。一方、Rasファミリーに属する低分子量GTP結合蛋白質は、Ras以外のメンバーも、細胞の増殖、分化、アポトーシス、あるいは、細胞骨格や接着、運動などの制御を介して発がん機構やがん細胞の形質に関与している可能性がある。Rap2はRasファミリーに属するが、そのエフェクター結合領域はRas、Rap1とは1アミノ酸異なるため、Rap2に特異的に結合するエフェクター分子が存在する可能性がある。私共は、このようなRap2特異的エフェクター候補分子をTwo-Hybrid法とアフィニティークロマトグラフィー法を用いて検索し、3つのプロテインキナーゼを同定した。これらのキナーゼは、形態形成とがん細胞の形質に関与するHGK/NIK/MAP4K4(以下MAP4K4)と、MAP4K4に類似の構造を持つTNIK、MINKであった。これらのキナーゼはTwo-Hybrid法においてRap2と結合したがRas、Rap1とは結合しなかった。また、MAP4K4とTNIKは試験管内でRap2とGTP依存性に結合することが確認された。さらに、細胞内局在もRap2と一致した。これらのキナーゼはストレス応答性MAPキナーゼであるJNKの上流に位置するとされるが、Rap2はMAP4K4によるJNKの活性化を相乗的に促進した。以上の結果からRap2がMAP4K4、TNIK、MINKを介してRasやRap1とは異なる独自の機構で発がん過程やがん細胞の形質に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)