2001 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属カルコゲナイドナノチューブの新合成と新規量子現象の研究
Project/Area Number |
13440102
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
丹田 聡 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80217215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡島 吉俊 旭川工業高等専門学校, 助教授 (00213934)
明楽 浩史 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20184129)
山谷 和彦 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80002054)
畠中 憲之 NTT基礎研究所, 主任研究員
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Keywords | 電荷密度波 / トポロジカル物質 / リング結晶 / 超伝導 / メビウス結晶 / トポロジー / NbSe_2 / NbSe_3 |
Research Abstract |
通常の結晶形とトポロジー的に異なる構造を持つ、NbSe_3の"nπ-ひねりのループ"結晶の作成に初めて成功した。これらの成長機構及びCDW(電荷密度波)転移について報告する。三セレン化ニオブNbSe_3は、一方向に導電性の良い伝導チェインを持つ、擬一次元性物質である。低次元導体に特有なCDW秩序状態を持つ代表的物質としてよく研究されている。この物質はホイスカー(ひげ結晶)を形成するのみであると従来信じられてきた。しかしNbSe_3の新規な結晶形が発見した。これらは円周に沿って一周するときのひねり数、nπで分類され、明らかに直線的なホイスカーとは異なるトポロジーを持つため、トポロジカル物質と呼ぶ。発見されたループ結晶のサイズは、外径10〜300μm、内径は最小で〜1000A程度である。NbSe_3のコヒーレンス長(数μm)と同程度のループを得ることもできる。 次に、スプーリングと両立するひねりの発生機構を考える。a)ダブルスプーリングから、2πのひねりを持つループを形成できる。b)スプーリング+ツイスト(外力などによる)から、任意のひねりを持つループを形成できる。2πループが主にダブルスプーリングから形成されることは、2πループの平均サイズが0πループの約2倍であることから明らかである。また、実際の結晶におけるひねり数の頻度を見ると、明らかにひねりの発生数はπ≪2πであった。よって、スプーリング+ツイストによって形成されるループ結晶は僅かであることが示される。 ループ結晶に対し、直流2端子法により300-4.2Kの範囲で抵抗率測定を行った。その結果、通常のNbSe_3結晶と同様に、約Tc_1=141K,Tc_2=59Kにおいて2度のCDW転移が観測された。しかし、nπループには最大で4Kという大きな転移温度の降下が見られた。特筆すべき特徴として、大幅な降下(〜4K)は2πサンプルでのみ観察され、0πサンプルはホイスカとほぼ同じ性質であった。これはトポロジーによる定性的な差が生じているといえる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] O. Anegawa: "Effect of Spin Substitution on Stripe Order in La_<1.0875> Ba_<0.125> Cu_<1-y> M_yO_4(M=Zn or Ni)"Phys. Rev. B. 63. 140506(R)1-4 (2001)
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[Publications] K. Yamaya: "Pressure Effect on Carge-Density-Wave and Superconductivity in ZrTe_3"J. Physics F. (in press).