Research Abstract |
次世代の情報の高密度化に対応すべくZnOの近紫外励起子レーザ発光デバイス化が有望視されている。本研究は,Si基板上に硫化物薄膜をエピタキシャル成長させ,これを酸化することにより高品質酸化物エピタキシャル薄膜を形成するとともに,デバイス化のために必要なバンドギャップの制御並びに伝導性の制御について検討を行うことをも目的としている。16年度研究実績の概要を述べる。 ◇Si(111)基板上Zn_<1-x>Mg_xOエピタキシャル薄膜の形成によるバンドギャップの制御 ZnS及びMgS混合ペレットを蒸着源として,電子ビーム蒸着法によりSi基板上にZn_<1-x>Mg_xSエピタキシャル薄膜を成長させ,これを酸化することによってZn_<1-x>Mg_xO薄膜の形成に成功した。 更に,x=0.15までの薄膜においてウルツ鉱型のZn_<1-x>Mg_xO薄膜が形成され,Mgの添加量にともない励起子発光ピークエネルギーがZnOの3.34eVからZn_<0.85>Mg_<0.15>Oの3.45eVまで高エネルギーへシフトすることが確認され,エネルギーギャップの制御がなされたことが示された。 ◇Si(111)基板上Zn_<1-x>Mg_xOエピタキシャル薄膜の伝導性の制御 本研究では,伝導性の制御に高温での熱処理を必要としないレーザドーピング法を適用することも特徴の一つである。前年度において,ZnOでKr FエキシマーレーザによるAlまたはGaドーパントのレーザドーピングによりn型化に成功している。今年度は,Zn_<0.9>Mg_<0.1>O薄膜のn型化のドナーとしてAlのドーピングを行った。Zn_<0.9>Mg_<0.1>O薄膜上Al極薄膜へ空気中で照射エネルギー密度110mJ/cm^2のレーザ照射を行ったところ,近紫外域の発光が支配的な良好な薄膜が得られた。電気的特性については,Alの膜厚が15nmのとき,抵抗率45.9Ω-cm,移動度0.92m^2/V-s,キャリア濃度1.48×10^<17>cm^<-3>の特性が得られ,n型の低抵抗化がなされたことが示された。Sb極薄膜を用いたp型化に関しては,十分な低抵抗化には至らなかったが,ドーピングの兆候は認められた。 以上,本研究により,これまで実現されていない高効率Si基板上近紫外発光ZnO発光素子の形成の可能性が示された。
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