2003 Fiscal Year Annual Research Report
炭素および窒素結合型遷移金属α-シアノカルバニオンの構造と反応性に関する研究
Project/Area Number |
13450371
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
直田 健 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20164113)
|
Keywords | シアノカルバニオン / ルテニウム |
Research Abstract |
申請者らは、スルホニルアセトニトリルのCpRuホスフィン錯体における、炭素結合、窒素配位結合間での相互変換の異性化の方向性に関する基礎研究を行った。種々の平面、正四面体、正八面体構造を取る典型的な金属錯体で異性化反応を検証、ライブラリー化することで、これらの相互変換が、配位子の立体的、電子的要因に大きく体存する事を証明し、金属錯体全般におけるC-型、N-型構造の異性化と配位子の相関に関する知見を得た。さらに、C-型およびN-型α-シアノカルバニオン錯体から自己組織化により生成するμ^2-C,N-結合型2核錯体が外部配位子により開裂を起こしC-型およびN-型錯体を生成する素反応に対して、一連の速度論的検討を行うことにより、C-型、N-型構造の相互変換の機構が、シアノカルバニオンの自己組織化と離散を鍵として進行する分子間プロセスか、あるいは、ニトリルのside-on配位を経由する金属のニトリルπ-平面上の"long-range slippage"によって進行する分子内プロセスのどちらを経由するのかについて区別が行えることを明らかにし、その動的挙動に関する新しい知見を与えることになった。また、C-型およびN-型のα-シアノカルバニオン錯体の炭素-炭素結合形成が、それぞれ金属の還元的脱離過程およびzwitter ion構造でのアニオン部位でのイオン的プロセスで進行することを一連の合成錯体で検証し、炭素-炭素結合モードの外部配位子によるスイッチング技術を確立した。これらの知見を基盤に、シアノカルバニオンの動的挙動の外部配位子による化学制御により、ニトリルの炭素-炭素結合生成触媒反応において、さらなる高効率、高反応性を実現した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 直田 健, 小宮成義他: "有機合成における触媒反応"東京化学同人(in press). (2004)
-
[Publications] 直田 健, 小宮成義他: "実験化学講座 第5版 17巻"丸善(in press). (2004)