2002 Fiscal Year Annual Research Report
急性膵炎の後期重症化機構におけるCARSの関与に関する研究
Project/Area Number |
13470242
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小川 道雄 熊本大学, 医学部, 教授 (30028691)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 昌彦 熊本大学, 医学部, 講師 (80284769)
江上 寛 熊本大学, 医学部, 助教授 (00264284)
守 且孝 熊本大学, 医療短期大学部, 教授 (10040213)
|
Keywords | 急性膵炎 / 重症急性膵炎 / SIRS / CARS / 感染 / 重症化機構 / 多臓器不全 / サイトカイン |
Research Abstract |
サイトカイン及びサイトカイン阻害物質の血中動態は急性膵炎の重症化と関連している。重症急性膵炎では、おそらくその高度の組織破壊の影響で、多くのサイトカインの産生が誘導されて、サイトカインストームとも言うべき状態となる。サイトカインは本来は生体防御反応として産生されるが、過剰に産生されると、臓器障害や感染防御能の低下など、生体障害性の反応が惹起される側面を有する。急性膵炎の後期重症化の背景にはCARSに伴う易感染性がある。この生体防御反応は生物の生存に不可欠のものであるため、精巧なバックアップシステム、フェイルセーフシステム、フィードバックシステムを有している。そして局所のSIRSに対するフィードバックシステムの作動によって全身は逆にCARS状態となる。このとき局所のSIRSが大きいほど、全身のCARSは大きくなる。LISISと呼ぶべき病態である。両者が平衡を保っている状態であるために、片方を抑える治療(例えば炎症性サイトカインの阻害療法)の効果が発揮されないのではないか、と考えられる。本研究の結果、急性膵炎の診療においては、SIRSとCARSの両側面への対策が肝要であることが明らかとなった。 SIRSやCARSの概念の登場とともに、侵襲反応の種々の側面が明らかとなってきたが、未だほんの一側面をとらえているにすぎないと思われる。生体が組織する侵襲反応の全体像を把握するためには、さらなる探求が必要である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Ogawa M, Hirota M, et al.: "Development and use of a new staging system for severe acute pancreatitis based on a nationwide survey in Japan"Pancreas. 25. 325-330 (2002)
-
[Publications] Ogawa M.: "From SIRS and CARS to SLIRS and LISIS -new concepts for understanding the development of organ failave after clinical insalts"Clin. Intensive Care. 13. 143-146 (2002)
-
[Publications] Hirota M. et al.: "Visualization of the heterogeneous internal structure of so-called "pancreatic necrosis" by magnetic resonance imaging in acute necrotizing pancreatitis"Pancreas. 25. 63-67 (2002)
-
[Publications] Hirota M. et al.: "Percutaneous embolization of the distal paucreatic duct to freat intractable pancreatic juice fistula"Pancreas. 22. 214-216 (2001)
-
[Publications] Okabe A, Hirota M, et al.: "Altered cytokine response in rat acute pancreatitis complicated with endotoxemia"Pancreas. 22. 32-39 (2001)
-
[Publications] Kuwata K, Hirota M, et al.: "Genetic mutations in exon 3 and 4 of the pancreatic secretory trypsin inhibitor in patients with pancreatitis"J. Gastroenterol. 36. 612-618 (2001)
-
[Publications] 小川道雄: "外科学臨床講義(II)-考える臨床医であるために知っておきたい外科学の最近の進歩-"へるす出版(東京). 257 (2001)