2001 Fiscal Year Annual Research Report
β2ミクログロブリンのアミロイド線維形成反応の蛋白質立体構造に基づく解析
Project/Area Number |
13480219
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 祐児 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (40153770)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内木 宏延 福井医科大学, 医学部, 教授 (10227704)
星野 大 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (70304053)
|
Keywords | β2ミクログロブリン / アミロイド線維 / アミロイド病 / 蛋白質 / フォールディング / NMR / 重水素交換 / 一分子観察 |
Research Abstract |
β2ミクログロブリンは透析アミロイドーシスの原因蛋白質であり、その構造と安定性、アミロイド線維形成反応を調べることは、アミロイド線維の形成機構を理解するよいモデルとなる。^<15>N、^<13>C安定同位体で標識したβ2ミクログロブリンを、メタノール資化酵母および大腸菌で大量発現し、β2ミクログロブリンのさまざまな構造状態をNMRを中心とする物理化学的手法をもちいて解析した。 (1)ジスルフィド結合の役割:β2ミクログロブリンの内部に存在するジスルフィド結合を還元した還元β2ミクログロブリンの構造安定性を解析した。その結果、安定性は低下するものの、蛋白質の立体構造はあまり変化しないことを明らかにした。しかし、ジスルフィド結合を還元したβ2ミクログロブリンはアミロイド線維を形成せず、きわめてフレキシブルなフィラメント構造を形成することを明らかにした。 (2)NMR解析:天然状態、アミロイド線維を引き起こしやすい酸変性状態の多次元NMR解析を行い、各アミノ酸の化学シフトを帰属した。また、これに基づき、二次構造やダイナミクスを議論した。重水素交換反応を行い、コア領域を探った。さらにアミロイド線維について、重水素交換、ジメチルスルフォキシドによる溶解、NMR解析を組み合わせて解析した。この結果、アミロイド線維では天然構造の以上領域でβシートの形成されていることを明らかにした。 (3)顕微鏡解析:全反射蛍光顕微鏡を用いて、β2ミクログロブリンのアミロイド線維形成反応を単一分子レベルで観測することに成功した。このとき溶媒にチオフラビンTを加え、これがアミロイド線維と特異的に結合して蛍光を発するようになることを利用する。この方法は、他のアミロイド線維に関しても適用できると期待できる。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Szewczuk, Z.: "A two-process model describes the hydrogen exchange behavior of molten globule of cytochrome c with various extents of acetylation"Biochemistry. 40(32). 9623-9630 (2001)
-
[Publications] Kazumasa Sakurai: "Salt-dependent monomer-dimer equilibrium of bovine β-lactoglobulin at pH3"Protein Sci.. 10(11). 2325-2335 (2001)
-
[Publications] Yumiko Ohhashi: "The intrachain disulfide bond of β2-microglobulin is inessential for the immunoglobulin fold at neutral pH but essential for amyloid fibril formation at acidic pH"J. Biochem.. 131(1). 45-52 (2002)
-
[Publications] Gennady Kozhukh: "Investigation of a peptide responsible for amyloid fibril formation of β2-microglobulin by Acromobacter protease I."J. Biol. Chem.. 277(2). 1310-1315 (2002)